【2016年10月号】一流の秘書だからわかる一流のリーダーの条件

 10年間にわたり主に外資系企業でトップエグゼクティブたちを補佐するエグゼクティブ・アシスタント(社長・重役秘書)を勤めた能町光香氏。
 日本の秘書のイメージとは違い、ビジネス・パートナーとして扱われてきた能町氏は、「一流」と呼ばれるリーダーたちには共通の考え方や行動、人間性があるという。
 日本人では数少ない上級米国秘書検定の合格者でもある能町氏にうかがった。

 
 
厳しいミッションを成し遂げるエグゼクティブたちを見てきた
 
 
 「秘書」というとどんなイメージをお持ちでしょうか。スケジュール管理、来客の接遇、書類整理、そしてお茶汲み、と思われているかもしれませんが、それはほんの一面。実際は上司がいかに業績を上げるかをサポートする強力なアシスタントといえます。

 私の上司はどなたも日本が初めてという方ばかりでした。しかもわずか3年で成果を上げて帰国しなければなりません。そんな厳しいミッションを背負うということは、帰国後は本社でトップマネジメントに携わるような優秀なエグゼクティブである証拠です。国際的なビジネスの最前線で活躍してきた彼らの交渉術やプレゼンテーション術、チームのオペレーション術、プランニング力、そして人間性などを間近で見ることができたのはとても幸運でした。どれをとっても「一流」と呼ぶにふさわしい方ばかりだったからです。

 また、私はエグゼクティブ・アシスタントとして上司のメールを見ることができるアクセス権を与えられていました。でないと、上司の不在時に取引先から問い合わせがあっても、咄嗟の判断なんてできません。時には上司に経営上の意見も求められます。経営企画室という部署はありますが、違うファンクション(機能)として、彼らの右腕となって動くことができる環境がありました。
 
 
「鷹の目より鋭い」と言われた秘書の目
 
 
 言語の違う国で、わずか3年で成果を上げなければならないことは厳しい条件ですが、できなければ、自分の未来はないことを彼らは知っています。いわば命がけで日本にやって来ているので、そばにいる秘書の私をビジネス・パートナーとして見なさなければやっていけません。私自身もそんな彼らと共に仕事をすることで成長できたと思います。

 ある時、「秘書の目は、鷹の目よりも鋭いね」と言われたことがあります。一流のビジネスマンの考え方や哲学、行動に直に触れていますから、物事を見る目も養われていくはずです。そういう秘書の目に、上司は自分のことがどのように映っているのかは、私が寄稿しているWebコラム※の反響でも感じることですが、とても気になるところでしょう。
 そこで、今回は、私が「一流」と感じる上司、リーダーたちにはどんな共通項があるのかをお伝えしたいと思います。

※ダイヤモンド社が提供するビジネス情報サイト[diamond on line] の
「秘書だけが知っている仕事ができる人、できない人 能町光香」は何度もアクセスランキング1位となっている人気コラム
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一流のリーダーの条件 その1
飛行機やホテルの予約を自分でしないこと
 
 
 「一流のリーダー」とは、行動や思考が洗練されていて、部下が成長できるように導き、確実に結果を出す人。いわゆる「仕事ができる人」は、新しく赴任して来てもすぐにわかるもの。視野が広いというか、森を見ているような感じです。森の上から全体を見渡して、自分はどのように行動すればいいのかを常に考えています。

 ですから、あまり細かい事ばかりを言っている人は一流とはいえません。細かい人というのは、例えば飛行機のチケットやホテルの予約を自分でしてしまうような人。数万人の社員の頂点に立つような人の中にもいるのです。部下は「なんて優しいリーダーなのだろう」と思うでしょうか? 「もっと部下を信頼してほしい」「細かい仕事まで抱え込まずに、部下に任せてほしい」と常識的な感覚を持っている部下ならそう思うはず。一流のリーダーは、そんなことをする時間があるのなら、大事な意志決定の時間にあてたいと思うものです。

 ちなみに自分で予約するのは「マイレージを貯めたいから」という理由があるようですが、日本人はそのことを秘書に言うのは恥ずかしいようですね。外国人はそういう点はなんとも思いません。「ありがとう。君がマイレージを貯めていてくれたおかげで家族旅行ができ、とても楽しかったよ」と、上司をはじめ、奥様やお子さんからもお礼のお手紙とお土産をいただいたこともありました。細かい事は気にしない、部下にどんどん任せる度量こそ、一流のリーダーの条件です。
      
一流のリーダーの条件 その2
誰よりも早く出勤し退社し、背中を見せること
 
 
 そもそも仕事のできる人は、遅刻はしません。30秒でも遅刻をしたらビジネスを失うと思っています。待ち合わせなら早目に行って近くで待機することが多いです。
 毎日の出勤でも誰よりも最初に出勤。だいたい9時から会議があるので、7時半か8時には出勤して準備しています。そして一番早く帰ります。すると部下たちはリーダーの背中を見送ることになります。エグゼクティブ・プログラムなどの研修で「リーダーは行動で示すもの」と教わっているのでしょう。言葉より行動が雄弁に語るのは日本でもよく聞きます。部下は行動するリーダーの背中を見て、その背中に憧れるもの。ですから、定時の5時になれば、いの一番に颯爽と帰っていきます。

 部下も夕方5時を過ぎたら決済をもらう上司はいませんから、5時までに必至で仕事を済ませるようになり、全員が朝型になりました。つまり残業はなし。
 アフター5で飲みに行くというのも、あまりありません。あったとしても、翌日の仕事に差し支えがないように21時半頃には切り上げます。気持ち良く酌み交わしますが、それでも、泥酔したような姿をこれまでの上司で一人も見たことはありません。
 
      
一流のリーダーの条件 その3
誰もが対等、肩書きに左右されないこと
 
 
 エグゼクティブの人たちはどんな人に対しても対等に接します。トイレ掃除している方にも、きちんと挨拶をします。日本人でもそういう素敵な方はいますよね。共通しています。

 つまり、肩書きに左右されません。態度は常に一貫しており、人の肩書きや立場によって態度を変えることはないのです。

 しかも、自分の上司にあたる上層部だけを見て仕事をするということはありません。なにしろ、短期間で業績を上げるには一人では絶対に無理です。自分自身に能力があることは分かっていても、周りのサポートがないと達成できないということを彼らは十分知っているのです。

 ですから、チームや部署の一員として仕事をするパートや派遣社員の存在も決してないがしろにはしません。とはいえ話をする機会はなかなかとれない。そこである上司は、
クリスマスカードを用意するよう秘書の私に伝え、一人ひとりに今年貢献してくれた感謝の言葉を書いて渡しました。もちろん、私が翻訳して書きます。「あなたが居てくれたおかげで、チームが調和し、目標を達成することができました。ありがとう!」と。自分のことが書かれたカードですから、皆さんとても喜ばれます。

 大きなプロジェクトが成功した時は、ケータリングサービスをつかい、社内でパーティーを開くこともあります。その時は自分はホスト役になり、普段時間がなくあまり話せない部下たちへ話をしに行きます。
部下と対等になれる機会を自ら作るのです。皆さんのおかげで自分が居るということを一流のリーダーたちはきちんと認識しているからできる行動といえます。
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一流のリーダーの条件 その4
部下を信頼して仕事はどんどん任せること
 
 
 リーダーの一番の役割は業績を上げることですが、それには部下の適性や強みを見つけることが大切になってきます。一人ひとりの社員の強みを見つけてあげるのも、リーダーの大事な仕事のひとつです。

 英語でstretch goal(ストレッチ・ゴール)という言葉があります。達成できるレベルより少し高めの目標、あともう少し無理してでも手を伸ばせば、さらに大きな成果に届くゴールのことです。そのstretch goalを見つけ出して提示することがリーダーの役目です。「どうすれば部下が成長できるのか」を考える際、大切なのは、部下を「コントロールする」のではなく「マネジメントする」こと。部下をコントロールするリーダーは、すべてが自分の思うどおりに進まないと気が済まず、小さなことばかり気にします。そのため、部下を信頼できずに自分で仕事を抱え込んでしまい、どんどん忙しくなっていきます。
その結果、自分の忙しさを部下にも強要するようになり、コミュニケーションも減り、不信感が募っていくという悪循環に陥るのです。

 部下を信頼してどんどん成長の機会を与えること。これがマネジメントの基本です。
 
 
一流のリーダーの条件 その5
リフレッシュするために休暇は必ず取ること
 
 
 日本の会社では休暇を取るのを躊躇してしまい、有給休暇もほとんど使ったことがない、という話をいまだによく聞きます。ある程度の期間、バケーションを取ることはリーダーでなくとも全従業員に必要なことです。

 以前の私の職場では3週間まとめて休暇を取るのが一般的でした。休み明けの上司は、休暇で新たな着想を得たのか、はつらつとした顔で出社してきます。開口一番、あれを集めて欲しい、これをこうして欲しい、すぐにみんなと話したい、とパワー全開。対応する私たちが大変です(笑)。ですから、部下が「休みます」と言ってきたら「どうぞ、どうぞ」という感じです。リフレッシュすることがいかに大事なのか、リーダー本人が一番分かっていますからね。

 一度リーダーに尋ねたことがあるのですが、3週間の内、仕事のことは休暇の終わる最後の2日間の間に考えるのだそうです。それまでは頭の中を空っぽにして、家族との時間を思う存分楽しみます。体力、気力、思考力をすべてリフレッシュさせるためには3週間という時間が必要なのでしょう。そんなリーダーたちを見てきたので、休暇って本当に大切だと感じました。より高いレベルで仕事をするためにも、休暇はしっかりと取ることです。
 
      
一流のリーダーの条件 その6
オフィスは考える場ではなく、指示をする場であること
 
 
 彼らは、重要な案件についてオフィスでは考えません。移動中や家に居る時に考えています。というのは、出社すると実践部隊が待っており、すぐに指示を出さなければならないからです。

 オフィスでの彼らを見ていると、考えてきた頭の中にあるプランを、一気に部下に伝え、反応を見ます。そして、実行にうつるのです。部屋に閉じこもっていたり、「○○くんを呼んで」と言って部屋で待ったりするようなことはあまりありません。実践部隊がいる場へ自ら出向いて「○○さん、ちょっと」と声をかけ部屋に呼び、そこで詳しく指示をすることも多くあります。フットワークが軽いんですね。

 会議は、原則として30分以内に済ませます。外国人上司は、「なんて会議が多いんだ」と日本の会議事情に驚きます。連絡事項はメールで十分。会議は「報告の場」でなく、「意思決定の場」なのです。
 
      
一流のリーダーの条件 その7
部下の都合と予定を優先すること
 
 
 時間の使い方ですが、彼らは、決して自分の時間を優先しません。意外なことに思われるかもしれませんね。実は、部下の都合や予定を優先しながら日々仕事をしています。

 なぜなら、チームのメンバーのサポートがなければ、自分ひとりでは目標は達成できないと知っているからです。部下の都合や予定を優先させれば、部下は気持ちよく仕事を引き受けてくれて協力してくれます。部下のモチベーションも高まります。すると仕事がスムーズに運び、仕事の生産性が高まることを彼らは知っているのです。

 つまり、一流のリーダーは、「いかに自分のために部下が時間を使ってくれるか」をよく考えているのです。その時間が多ければ多いほど、その人数が多ければ多いほど、達成する確率は高くなります。そのためには、部下に気持ちよく働いてもらう。部下の予定を優先させる姿勢を持つことが大切です。

 究極の言い方をすれば、一流のリーダーは仕事をしません。部下が仕事をしてくれるからです。リーダーは「部下を喜ばすにはどうしたらいい?」 「部下に成長してもらうにはどうすればいい?」と考えているので、部下もリーダーのために頑張るわけです。このように一流のリーダーと部下には常にいい関係があります。ぜひ参考にしてみてください。     

【2016年9月号】仕事のデキる人間は、 デキる理由から考える

【マネジャー編】

仕事がデキる人とデキない人とでは、何が違うのでしょうか。
経営コンサルタントの大庭真一郎氏は「デキる人はデキる理由から考え、
デキない人はデキない理由から考えてしまうのです」と指摘します。
実際の3つのケースから解説していただきましょう。

 
 
デキる理由から考える人の発想「五段階思考法

ビジネスの現場では、やればデキるのに、「デキない理由」などないのに、なぜだか止まってしまっている人がいます。そんな人は「デキない理由」を並べ立てて前に進めない状況を作り上げているようです。
 逆に、デキる人はどのようにしてデキる理由を考えているのでしょうか。私はコンサルティングを通じていろんな人と出会い、仕事がデキる人は左のような「デキる理由から考える思考パターン」がえる思考パターン」があることに気付いたのです。
 
〈デキる理由から考える思考パターン〉
❶デキたときの姿、成功イメージを思い浮かべている

❷デキたときの姿に行き着く筋書を思い浮かべている

❸筋書を実現させるためのプロセスを考えている

❹考え付いたプロセスの実現性を検証している

❺実現性のあるプロセスをプラン化している
 
私はこれを「五段階思考法」と名付けました。前回は、この思考法で再チェンレジしてもらい、見事成功した企業を紹介しました。今回はビジネス現場の最前線に立つマネジャーで、うまくいかなかった仕事の結果に対して、この「五段階思考法」で好転した事例をご紹介しましょう。
 
 
事例テーマ❶ プレイング・マネジャーの役割を果たせるか?

 印刷会社の制作グループを率いるAグループ長。グループ長に昇進した際に社長から、「部下の育成と残業削減に取り組み、グループの生産性向上を実現してほしい」と命じられたのです。

〔デキない理由から考えてしまったAグループ長の思考〕
・管理職者になったからといって、自分自身の仕事が減ったわけではない。
・社長の指令を守るのであれば、それを行う時間は、ほとんどない。
・自分の仕事をやり終えた後で、できる範囲で取り組むしかない。
・それ以外のやり方は無理だ。
〔デキない理由で取り組んだその結果〕
・「部下の育成」と「残業削減」は共に実現せず、次の人事での降格対象となってしまった。

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〔五段階思考法で、デキる理由から考えて再チャレンジしたAグループ長の思考〕

❶デキたときの姿を思い浮かべてみる
・マネジメント業務をきっちりと行うためには何が必要なのかを考えてみた。
・先輩管理職者たちが部下に指示を与えながら指導している姿を、自分自身の姿にだぶらせてみた。
❷デキたときの姿に行き着く筋書を思い浮かべてみる
・そのような姿になるためには、自らの仕事の負担を軽くしなければならない。
❸筋書を実現させるためのプロセスを考えてみる
・そうするためには、部下に任せることができる仕事は任せ、引き続き自分が担う仕事については効率化を徹底することが必要だ。
❹考え付いたプロセスの実現性を検証してみる
・現在、自分が担当している仕事ごとに必要とされるスキルを洗い出して、該当スキルを持った部下の名前をピックアップ。任せたときに生じる影響を検証したうえで、任せても構わない作業を明確にしてみた。
❺実現性のあるプロセスをプラン化してみる
・グループ全体の改善目標を立てて、それに関して自分自身がやるべきことと部下に協力してもらうこととを明らかにした。そしてそれを部下に伝えて話し合った。
〔デキる理由から考えて再チャレンジしたその結果〕
・グループ全体に仕事の効率化を意識し徹底していこうという「みんなでやろう」的な空気が生まれた。
・Aグループ長が、マネジメントに必要な時間を確保することができた。
・「部下の育成」と「残業削減」は共に実現し、社長からの評価がさらに上がった。

◎解説
 「管理職になったからといって使える時間が増えるわけではないため、日常業務とマネジメント業務を両立させることがデキない理由を考えてしまうと、マネジメント業務が疎かになります。
 日常業務とマネジメント業務の両立に関してデキる理由から考えようという思考を持ち合わせたマネジャーは、自分自身が抱えている日常業務に対して工夫を加えることを考えます。そうすることで、自身のマネジメント能力に磨きがかかり、部下も業務の幅が広がることで職務遂行能力が向上するという相乗効果が生まれるのです」
 
 
事例テーマ❷ チームの目標を達成させられるか

OA機器販売会社で営業課を率いるB課長。会社から前年比10%UPの課の数値目標を達成するように命じられました。

〔デキない理由から考えてしまったB課長の思考〕

・自分の課が担当するエリアは競争が激しい。
・競争が激しいから新規顧客の獲得も容易ではない。
・部下たちも揃ってピリッとしない(全員が目標未達)。
・前年比10%なんて、できっこない。
・仕方がないから、全員に前年比10%UPの目標を設定させることで押し切ろう。

〔デキない理由で取り組んだその結果〕

・無理な目標を押し付けたことで、部下の営業効率が悪くなり、前年度の実績を下回る部下が続出した。
・課の成績も散々なものとなり、会社から責任を追及された。

〔五段階思考法で、デキる理由から考えて再チャレンジしたB課長の思考〕

❶デキたときの姿を思い浮かべてみる
・過去に受講した営業マンセミナーも参考にして、課全体で営業成績の底上げを図っていく姿をイメージしてみよう。

❷デキたときの姿に行き着く筋書を思い浮かべてみる
・セミナーで得たヒントを部下と共有し全員で営業の行動を変えていけば、目標をクリアすることができるのではないだろうか。

❸筋書を実現させるためのプロセスを考えてみる
・セミナーで得たヒントの中から、簡単に取り組むことができて確実に営業成績の向上につながるものを選び出し、自分自身が部下の営業活動を日々サポートすることが効果的ではないだろうか。

❹考え付いたプロセスの実現性を検証してみる
・課の中で定期的に勉強会を開くことで、セミナーで得たヒントの共有化が実現できるのではないだろうか。
・部下の力量や顧客の特性、市場環境を考慮したうえで目標数値を適正に割り振れば足並みを揃えることができるのではないだろうか。

❺実現性のあるプロセスをプラン化してみる
・シミュレーションを行ったうえで目標数値の割り振りを決定し、サポートの内容や具体的にどのように営業の行動を変えていけばよいのかを、部下に伝えて理解してもらうための計画を立ててみよう。

〔デキる理由から考えて再チャレンジしたその結果〕

・課全体の営業効率が向上し、B課長率いる課だけが、課としての目標を達成した。
・B課長自身、課の目標をもっと高く命じられてもクリアできるイメージを持てるようになった。

◎解説
 「上意下達で組織の目標を決められた場合、マネジャーが割り切れない思いを抱きながらデキない理由を並べ立てれば、高い確率で組織としての目標を達成できない結果が生じてしまいます。
 一方、与えられた目標を達成デキる理由から考えようという思考を持つマネジャーは、過去のルールややり方にとらわれずに、生み出したい結果を作るための体制を新たに整えるでしょう。そうすることで、組織の中に良い意味での新陳代謝が生じ、部下も成長していくのです」

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事例テーマ❸ 部下からの提案を生かすことができるか

IT会社のWEB制作部門の責任者であるC部長。部下から、どの競合他社も取り入れていない新サービスを市場に導入する内容の提案をされました。

〔デキない理由を思い浮かべたC部長の思考〕

・競合他社に押されている状況を何とかしなければならないが、下手な動きをして、今よりも状況を悪くすることも避けたい。
・一からの挑戦なので専属の人間が必要になるが、部内に手の空いている人間などいない。
・仮に人がいたとしても、売るためのノウハウがない。
・既存のサービスよりも価格が高くなるため、ユーザーからそっぽを向かれるのではないだろうか。
・これだけのリスクが想定できるのだから、やらないという判断を下すのが妥当である。

〔デキない理由で何もしなかったその結果〕

・提案をした部下の一部が退職してしまった。
・残った部下たちの間で、提案を握りつぶしたC部長に対する失望感が広がっていった。

 
〔五段階思考法で、デキる理由から考えて再チャレンジしたC部長の思考〕

❶デキたときの姿を思い浮かべてみる
・新サービスが市場から受け入れられ、売上も伸び、市場シェアが回復する成功イメージを持ってみよう。

❷デキたときの姿に行き着く筋書を思い浮かべてみる
・プロジェクトチームを立ち上げ、事業計画を立てて役員会の承認を得たうえで、市場へのプロモーションを展開し、既存顧客に対する働きかけを行っていけばよいのではないだろうか。

❸筋書を実現させるためのプロセスを考えてみる
・プロジェクトチームは、提案者を含めて自部門の人間で結成しよう。
・マーケティング活動に関しては、他部門にも協力してもらおう。
・販売ノウハウに関しては、テストマーケティングの実施で習得でき、専門家への相談でもカバーできる。

❹考え付いたプロセスの実現性を検証してみる
・業務効率を高めることで、自部門の人間が兼業という形でプロジェクトに参加することは可能だ。
・他部門からの協力に関しては、自部門の顧客に対して他部門の商材やサービスを売り込むことと引き換えに得ることが可能だ。
・今回の内容はスピードが要求され予算も限られているので、公的機関が行っている専門相談を活用することで販売ノウハウをカバーするやり方が最適だ。

❺実現性のあるプロセスをプラン化してみる
・役員会の承認を得てプロジェクトを展開するまでの行動計画を立ててみよう。

〔デキる理由から考えて再チャレンジしたその結果〕

・取引先の数が増えた。
・部門内での結束力が高まった。
・C部長自身、部門を統率することへの自信が高まった。

【2016年7・8月合併号】 仕事のデキる人間は、 デキる理由から考える

【経営者編】

ビジネスの現場では日々、「デキるか、デキないか」の選択に迫られます。
「デキる」人はどんな理由や考え方、発想で取り組んでいるのでしょうか。
事例を通して経営コンサルタントの大庭真一郎氏にうかがいました。

 
 
経験が邪魔をする「デキない理由」

実際のビジネスの現場では、「デキる」よりも「デキない」と考える人が多いように思えます。
デキない理由を並べ立てて前に進めない状況を作り上げ、自分の可能性に「デキない」枠を自分ではめてしまうのです。
これはどう考えても損をしているとしか思えません。
 
「デキない理由」から損な結果を生じさせてしまうメカニズムとしては、人は経験を積むことで知恵やノウハウが蓄積され、同じ過ちを繰り返さない、リスクを回避する術を身に付けるのですが、無意識のうちに変化に対して守りに入ろうとする気持ちが生まれてしまうことで「やっぱり止めておくか」と考えるようになるのです。
 
そのような時、人は経験により得た知識をフル回転させて、いくつものデキない理由を思い浮かびあがらせます。
取り組んだ先に待ち構えている「難」がいろいろと見えてしまう気がするんですね。
そうなると確実に損をします。

なぜなら、変化の先にある成功を自分のものにする可能性をゼロにしてしまっているからです。
 
 
周囲に対しても損をさせてしまう

変化を望まない人がいると、周囲に対しても損をさせてしまいます。
誰かが新しいことにチャレンジしようと口にしたときに、デキない理由を並べて、変化のない方向へ引っ張ろうとするからです。

どのようなやり方で挑戦していくのかを決めるための会議が、いつの間にかデキない理由を拾っていく会議に変化してしまう。
そんな会議を繰り返していると、会社や組織は環境変化の波にのまれて衰退の道をたどっていくことになりかねません。
 
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デキる理由から考える人の発想「五段階思考法」

コンサルティングを通じていろんな方と出会ってきましたが、「デキる理由」から考える人は、共通して左のような思考回路を持っていることに気付きました。
 
❶デキたときの姿、成功イメージを思い浮かべている

❷デキたときの姿に行き着く筋書を思い浮かべている

❸筋書を実現させるためのプロセスを考えている

❹考え付いたプロセスの実現性を検証している

❺実現性のあるプロセスをプラン化している
 
 
私はこれを「五段階思考法」と名付けています。
取り組んだ事がうまくいかなかった企業に、この思考法で再チャレンジしてもらい、見事成功した事例を紹介しましょう。
 
 

事例テーマ❶
 
取引先からの無理な要求に対応することができるか

部品製造会社のD社長。売上の30%を占めるA社が値下げを要求してきました。
 
〔デキない理由から出発したD社長の思考〕

・A社以外との取引で売上の30%をカバーする見込みは立たない。
・そのことをわかっているA社は強気な態度で出てくるはずだ。
・A社の責任者は妥協しない人だから押し通すだろう。
・要求は拒めない。
 
〔デキない理由で取り組んだ結果〕

・メーンバンクに融資をしてもらい運転資金を確保したが、経営の立て直しは思ったようには進まなかった。
・メーンバンクに再融資を断られ、リストラを断行せざるを得なくなった。
 
〔五段階思考法で、デキる理由から考えて再チャレンジしたD社長の思考〕

❶デキたときの姿を思い浮かべてみる

・長年取引が続いているということは、A社が自社の部品に信頼を置いていることは明らか。
・A社にとっても、いまさら他社の部品にシフトすることはリスクがあるはずだ。
・WIN―WINの関係が実現するような提案を行えば、値下げを撤回してくれるかもしれない。

❷デキたときの姿に行き着く筋書を思い浮かべてみる

・値下げ要求を口にした責任者のメンツにも配慮したうえで、双方の取引関係を強化することに関して合意を結んだという形で話をまとめるのがよいのではないだろうか。

❸筋書を実現させるためのプロセスを考えてみる

こちら側の考えをまとめた提案書を早急に作成し、責任者に対して意見する場を作ろう。

❹考え付いたプロセスの実現性を検証してみる

・双方で情報を共有し合い、受注の時期や数量を盛り込んだ生産計画の精度を高めることで、納期の短縮と在庫コストの削減、生産ロスの低減という面でWIN―WINの関係になれる実現性があるので はないだろうか。
・自社の技術力を高めることで、A社が作る完成品の性能が高まり、A社の市場競争力が強化され、A社からの部品発注量が増加し、自社の売上も増 すという形でWIN―WINの関係になれる実現性があるのではないだろうか。

❺実現性のあるプロセスをプラン化してみる

・双方の情報共有化や自社の技術開発に関する実施計画を立ててみた。
 
〔デキる理由から考えて再チャレンジした結果〕

・A社の責任者が、提案に賛同。正式に値下げを撤回した。
 
 
◎ポイント

取引先からの要求に対して、断ると取引を打ち切られることが怖くて、深く考えることなく無条件に要求をのんでしまいがちになる。
・不利な要求は収益の減少に直結するため、経営者は、全知全能を注いで、要求を拒むことがデキる理由を考えつくす必要がある。

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幹部社員と「想い」を一つにすることができるか
IT会社のF社長。幹部社員が経営感覚を持ち、率先して行動してほしいのですが、その「想い」がなかなか伝わりません。
 

〔デキない理由から考えてしまったF社長の思考〕

・幹部社員といえども、しょせんは雇われの身であり、会社の存在が自分の人生そのものだという感覚などあるはずもない。
・自分が抱えている悩みや感じている想いは、同じように会社のトップにいる人間にしかわからないだろう。
・想いを一つにすることはあきらめて、彼らの尻を叩き続けることにしよう。
 
〔デキない理由で取り組んだ結果〕

・会議の場でも、社長が一方的に檄を飛ばすだけで、幹部社員たちはほとんど発言しない状態になった。
・会社がジリ貧状態に陥った。
 
〔五段階思考法で、デキる理由から考えて取り組んだF社長の思考〕

❶デキたときの姿を思い浮かべてみる

・自分の想いを伝えるだけでなく、彼らの想いにも耳を傾ければ、想いを一つにできるのではないだろうか。
・互いに語り合うことで想いを一つにできるイメージが湧いてきた。

❷デキたときの姿に行き着く筋書を思い浮かべてみる

・彼らの想いに耳を傾け、共感できることを口にして、互いの距離を詰めていけばよいのではないだろうか。
・そうすることで、彼らも自分の言葉に耳を傾け、やがて互いの想いが一つになり、会社をどう立て直すのかについて建設的な議論が行えるようになるのではないだろうか。

❸筋書を実現させるためのプロセスを考えてみる

そのような状況を実現するためには、自分と彼らが一堂に会して本音で語り合う場を作る必要がある。
・彼らにお願いして、金曜日の業務終了後に、どこかのホテルで一晩語りつくしてみよう。

❹考え付いたプロセスの実現性を検証してみる

そうしたうえで彼らに会社を再生させるための事 業計画を作らせて、その後自分も加わって何をどのように進めていけばよいのかを明らかにしていけば、彼らも行動に移すのではないだろうか。
・計画書の雛形を与えて全員で協力して中身を考えてみてくれと言えば、事業計画を作った経験のない彼らでもやれるのではないだろうか。

❺実現性のあるプロセスをプラン化してみる

彼らと事業計画を作り上げるまでのプロセスを明らかにした行動計画を立ててみた。
 
〔デキる理由から考えて取り組んだ結果〕

・幹部社員たちが、経営的な視点で率先して行動してくれるようになった。
・F社長が、会社を再生することについて確信を持てるようになった。
 
◎ポイント

社長と幹部社員が想いを一つにできれば、社長の立てた方針が即行動に移せる強い会社になるが、現実は、情熱や価値観の違いなどから想いを一つにできずにいる会社が多い。
・この状況を打開するためには、社長自らが想いを一つにデキる理由を考えたうえで、根気よく幹部社員に働きかけるしかない。

新卒者を採用することができるか

建設会社のE社長。総務部長から中小企業向けの新卒者採用支援サービスを利用してみないかと提案されました。
 
〔デキない理由を思い浮かべたE社長の思考〕

・うちのような小さな会社に、はたして新卒者が来 てくれるのだろうか。
・今の若い人は安定志向が強いから、賃金が高く福利厚生も充実した大企業に行きたがるのは当然だ。
・興味を持つ学生がいたとしても、親が反対をするのではないだろうか。
・採用支援サービスの利用料金は、失敗した場合に簡単に諦めがつく金額ではない。
・利用するのは、時期尚早だ。
 
〔デキない理由で何もしなかった結果〕

・後日、同規模の会社でサービスを利用して新卒者の採用に成功したことを知り、後悔の念が広がった。
 
〔五段階思考法で、デキる理由から考えて利用に踏み切ったE社長の思考〕

❶デキたときの姿を思い浮かべてみる

・専用サイト上に紹介されたサービスを利用した中小企業が新卒者の採用に成功した事例を見てみよう。
・新卒者を採用できそうだというイメージが湧いてきた。

❷デキたときの姿に行き着く筋書を思い浮かべてみる

成功事例に共通しているのは、学生の目線で自社の魅力をアピールしていることと企業側から積極的にコミュニケーションを取っていることだ。
・大企業に勤務していては得られない魅力を学生の目線で伝えることができれば、新卒者を採用できそうだ。

❸筋書を実現させるためのプロセスを考えてみる

・サービスツールを使って、こまめに学生とコミュニケーションを取り、自社の魅力を発信し続けていけばよいのではないか。

❹考え付いたプロセスの実現性を検証してみる

・若い社員たちに協力してもらえば、ツールの媒体で あるWEBやSNSを上手に使いこなせるし、自社の魅力を伝えることに関しても、実際に彼らが魅力だと感じていることを発信すれば、学生たちにも伝わるはずだ。

・若い社員たちを参加させることにより、彼らに責 任感が芽生え、実際に新卒者が入社してきたときの世話もきちんと見てくれるようになるのではないだろうか。

❺実現性のあるプロセスをプラン化してみる

・総務部長に相談して、若い社員を巻き込んで、サービスを利用して採用活動を行う構想を練ってみた。
 
〔デキる理由から考えて利用した結果〕

・2人の新卒者採用に成功した。
・社内に活気がみなぎった。

 

【2016年6月号】 これからのインバウンド 戦略とGS世代向け戦略

[事例で見る成長企業への展望]――Part 5   元気な企業は、こんなことをしている!
 
日本の消費をけん引してきたインバウンドとGS世代(ゴールデンシックスティーズ=「黄金の60代」)向けに、元気な企業は次の一手を打って出ている。
そんな企業、3社を紹介しよう。

 

インバウンドで活況の化粧品業界
日本ならではの対応力で海外戦略を練る

いま日本の化粧品メーカーは、毎月販売先から上がってくるデータにくぎ付けになっている。
「とくに東京都心の百貨店やドラッグストアでの売り上げの急伸にびっくりしています。外国人観光客のまとめ買いです。
一人で数万円単位で買ってゆくというケースもあります」
こう話すのはコーセーの長浜清人常務取締役だ。
 
東京銀座のマツモトキヨシ。
特に二階の化粧品売り場に上がるとびっくりする。売る方も買う方も日本人はほとんど見当たらない。ここはどこの国かと一瞬わからなくなるくらいの光景だ。

「中でも最も売れているのが、わが社の『雪肌精(せっきせい)』です。国内では30年前から販売しているロングセラーシリーズで、化粧水の価格が5000円くらいです。アジア各国の百貨店でも販売していますが、とくに漢字3文字のネーミングが受けて中国では人気でした。現地の百貨店で買えば6000円前後しますが、これが円安効果もあって日本のドラッグストアでは3500円くらいで手に入るということで、インバウンドのまとめ買いの対象になっています」(長浜さん)

コーセーとセブンイレブンが共同開発・販売している関連商品「雪肌粋(せっきすい)」は価格が安いこともあって、一人で100個単位で買ってゆく人も多く、空港や都心のセブンイレブンでは売り場に並べるそばから商品が消えてゆく状態だという。
コーセーの場合、化粧品の売り上げ構成は日本国内での販売が85%、そして全体の2%は外国人が日本で買うと推定してきたが、これがこの1、2年で倍増したと長浜さんはみる。

「今後国内の日本人市場が大きく拡大するとは考えにくいので、インバウンド需要はありがたいとは思いますが、こちらが主体的に仕掛けるというものではなく、あくまでも現地国で日常的にブランド価値を高める努力をしておくことが、日本旅行の際の購買意欲に反映されると思います」(長浜さん)
 
コーセーが初めて海外に進出したのは1968年の香港だった。
いまでは25の国と地域に展開している。
早い時期に海外売上比率を全売り上げの~30%程度へ拡大することが当面の目標だ。

「特にアジアでは日本の化粧品は高価格帯ですから、やはり百貨店の店頭で美容部員がカウンセリングをして販売する必要があります。
現地で雇用した美容部員を日本で研修したり、日本人のスタッフが現地を巡回指導するなど『日本のサービス水準』を徹底するように努めています」。
 
長浜さんは、こう説明する。

東京王子にあるコーセー研究所は、販売する商品およそ3000品目すべてに関与している。
「最近は国内だけでなく輸出やインバウンド需要をにらみ、海外の気候や風土に合わせた研究も増えました」。

日本と比べて極度に高温や低温、あるいは乾燥地帯でどんな化粧品が求められるかなど研究テーマが増えているという。
国によって気候や習慣に差があり、ひと口に化粧品と言っても売れ筋が異なる場合もある。
国により重点商品をきめ細かく変えながらも日本商品の品質とカウンセリング力で国境をまたいでゆく戦略が求められている。
国内市場閉塞の中で、日本市場の成長期待は外国人客。こうした動きはもう後戻りはないとみるべきだ。

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爆買いも一段落したアパレル業界
「上質の日本製」でいかに常連客に育てるか

そのインバウンド関連で注目すべき企業がもう一つある。

東京銀座。
行き交う人のかなりの割合が外国人。買い物袋を山ほど抱えている人も少なくない。
高級婦人服メーカー「銀座マギー」はその名のとおり銀座が発祥なだけに、外国人をターゲットにしたインバウンド対策にも先手を打ってきた。

「かなり早い時期から中国人の販売員を雇用し、POPなども中国語を用意してきました。また日本人よりも明るくはっきりした色合いを好むお客様が多いので、それを意識した商品の取り揃えも行っています」

 
本店長の山野直樹さんはこう話す。
本店の外国人売上比率はすでに2割近いという。

「いわゆる爆買いは一段落した感じはありますが、もう外国人のお客様がいらっしゃるのは当たり前の風景です。上海や香港などの女性エグゼクティブの方が年に何回もご来店されます。人前に出るときに着るスーツなどを何着も買って行かれます」(山野さん)

こうしたお客さんは、もともと生地販売からスタートした「銀座マギー」に、品質を求めてやってくるという。
「メイド イン ジャパンですか、と確認する外国人客が多いです。日本製の品質の良さで買い求める感覚は日本人ともはや変わりません」(山野さん)
 
「銀座マギー」はエレガントさを求める上質顧客をターゲットにし、女優や国会議員などにも上得意客が多い。
そうしたグレード感を求めて海を越えて顧客が来るということは、日本のアパレル産業の再生にも大きなヒントを示している。

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三世代住宅や増改築需要に注目
GS世代が納得感を抱くアプローチが鍵

近年インバウンドと車の両輪で消費をけん引してきた「GS世代※」の消費がここにきて低迷気味だ。
退職記念旅行などの需要が一巡、資産は持っているとはいえ年金支給額は現役当時の収入と比べれば相当減るし、後期高齢者年齢も近づいてきて老人ホームなどに入る備えなども気になれば消費は保守的にならざるを得ない。
だいたい歳を取ればそれほど買いたいものもなくなってくる。
 
そうした中で消費税の再引き上げを睨んで今一番注目されるのが、三世代が住む住宅取得や増改築需要だ。
「当社の住宅は床下がないんです」
戸建て住宅メーカー「ユニバーサルホーム」の菅野淳夫マーケティング部次長は、いきなりこう切り出した。
実はここに、同社の付加価値戦略が隠されているという。

 
住宅メーカーのセールスポイントは、いかに他社商品と比べて特徴的か、価格以上のお得感があるかにある。
「これまでの基礎工法と違い、当社では地面と床下の間に砂利を敷き詰めコンクリートで密閉してしまう工法を標準仕様として採用しています。砂利層が振動や騒音を吸収・分散するクッションの役割を果たすうえ、床下浸水もなく、従来のように通気口から湿気が入ったり、シロアリ発生の心配もなくなりました」(菅野さん)

しかし、砂利を敷き詰めるとそれだけコストもかかることにならないか?
「基礎部分を考えると従来工法より2割くらいコストが増えます。また上に建物を建てるためには水平に床面を仕上げる技術力も求められます。しかし地熱床システムは高い評価を受け、商品力は大きく向上しました」(菅野さん)

東日本大震災で津波を受けた地域でも、ユニバーサルホームの住宅が倒壊を免れた事例が多く報告されている。
また近年多発するゲリラ豪雨で床下浸水が各地で報告されているが、密閉して軒下がない住宅ではそうしたリスクは軽減される。

そして「地熱床システム」と呼ぶこの工法のもう一つの特徴は、夏はひんやり、冬は暖かいという井戸水と同様の効果があることだ。
さらにそのうえ、砂利を敷いたあと鉄筋を施工する段階で1階全体に温水パイプを張り巡らせて床暖房も標準装備している。

「オプションで床暖房装置を作るのではありませんから費用負担も少なく、しかも部屋だけでなくトイレや洗面所など1階部分すべてが対象となります。急な温度変化は高齢者の身体に負担をかけることになりますから、『GS世代』同居の住宅として大きな優位性をアピールできます」
菅野さんは、こう強調した。

 
見かけ上の価格競争ではなく、いかに商品の価値を高め、この品質でこの価格ならば割安感があります、と訴えてゆく。
一生の買い物だけに、安全性と快適性も重要な購買条件になることは言うまでもない。
今後日本の消費力は、「GS世代」が後期高齢者に向かうために一気に落ちてゆく。
そうした中でシルバー層にどう納得いく商品提案を行うかが、企業戦略の大きなカギになる。
またインバウンド向けには「日本人の暮らし」をどう商品提案するかという発想も忘れてはならない。

※GS世代/ゴールデンシックスティーズ=「黄金の60代」

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【2016年5月号】 女性が活躍できる企業になるための条件 Part2

4月、「女性活躍推進法」が施行されたこともあり、Part1では女性の活躍を推進していくうえで経営者に求められることをまとめた。
Part2の今回は現場で、実際に女性たちを管理・指導するリーダーとしての心構えをワーク・ライフバランスコンサルタントの二瓶美紀子氏に伺った。

 

男性リーダーに求められる女性活用のマネジメントポイント
 

女性とのコミュニケーションにおける男性リーダーに多い「誤解」とは

男性リーダー(管理職者)から「女性の部下とうまくコミュニケーションがとれない」「どこまで踏み込んでいいのかわからない」という相談をよく受けます。特に結婚・出産となると、どのように配慮すればいいのかわからないようです。わからないから、本人のためを思って配慮しているつもりが、配慮し過ぎて逆に女性の成長を阻んでしまうことも起こっています。
 その根底には女性に対して抱く「誤解」によるものが多いようです。その「誤解」とは?

 

女性は結婚・出産のタイミングでモチベーションダウンするのでは!?

女性は結婚や出産をするとモチベーションが下がると思い込む男性リーダーは多いようです。実際はそんなことはなく、下がっているように見えるとしたら、それは模範となるロールモデルがいないからです。
 入社3〜5年で社内を見回すと、結婚・出産した女性のキャリアが横ばいになっている現実を知ってしまうのです。
出産後、短い勤務時間でも成果をあげ、それをきちんと評価してもらえるとわかれば、モチベーションダウンすることはありません。

 

女性は管理職になりたくないのでは!?

管理職というと、遅くまで働いて、残業代はつかず、すべての責任を負わされ、家庭は崩壊しているというイメージを持ってしまっています。女性が管理職になりたくないというのは、今、自分の目の前にいる管理職者のようにはなりたくないと言っているだけで、上昇志向がないわけではないのです。ですから後ほど述べる「新しいリーダー(管理職)像」を伝えていくことが重要です。

 

女性特有の「詐欺師症候群」

男性リーダーは、女性特有の「詐欺師症候群」についてもぜひ知っておいてください。
 これはフェイスブックCEOのシェリル・サンドバーグ氏も著書の中で書いていますが、女性の中にはほめられても「自分はそんな評価をされるような人間ではない」と思い、「自分は周囲に対して詐欺行為を働いているのではないか」と罪悪感を覚える人がいます。
十分な実力がありながら理由もなく自信を持てずに悩む症状で、そのうち化けの皮が剥がれると思い込むのだそうです。
 すると、大きな仕事に自分から手を挙げることができなかったり、自信がなさそうに見えるので、上司の側からも大きな仕事を任せられないことにもなります。
女性に多いこのような特質を理解しておき、「私なんかとてもそんなことは」と言う女性には「詐欺師症候群」のことを教えてあげてください。女性自身は今まで気付かなかったでしょうが、そのことを知るだけで行動を変えていくきっかけになります。

 

女性には賞賛ではなく、承認するほめ方が有効

「詐欺師症候群」に陥っている女性には、「ほめる」ことで自信をつけさせることが大切ですが、ほめ方にも注意が必要です。
「ほめる」には2種類あります。

「新しいことにチャレンジしてすばらしい」
「あなたの意見は的確でいいね」

 これらは話している人の主観が入っている「賞賛」のほめ方です。自分に自信のない人がこう言われても「そんなことはないのに」と思って素直に受け取れないことが多いのです。
これに対して、客観的な事実を認めて伝えてあげるのが「承認」のほめ方です。

「○○にチャレンジしているんだね」
「この議論に欠かせない視点だね」

 こう言うと、言われたほうも事実なので受け止めやすいのです。「そうか、私は○○が出来ていたんだ」という気付きになり、さらにモチベーションをあげて仕事に取り組むようになります。

 

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普段からよく観察し、「変化」を感じ取ること

ただ、この「承認」はすぐにできるかというと結構難しく、普段からよく観察していないとなかなか言葉が出てこないものです。 
 特に「変化」を観察することが大切です。過去と比べて現在はどのように変わったのか。以前はこうだったけど、今はこのように変わったと伝えます。事実の変化を伝えると、「私のことをよく見てくれているんだ」と信頼感も増すことでしょう。

 具体的には、次のような点で観察することが大切です。
 ■何に困っているのか
 ■得意分野、苦手分野は何か
  ■どんな性格・特性を持っているのか
 ■仕事の進め方の特徴は何か
 ■何にやりがいを感じているのか
 ■チームの場合、メンバー同士が深いつながりを持っ ているのか
 ■何に不満を持っているか
 ■仕事に追われていないか

 これらの中でも、部下の得意分野・苦手分野を把握していれば、各々の能力を最大限に活かせるのではないでしょうか。
また、部下に新しい仕事を任せるときは、その人の過去の成功体験を知っていれば、そこに結びつけて伝えると、本人もチャレンジしやすくなります。
 また、「どんな性格か」をつかんでいれば、部下との接し方もスムーズにいくはず。ほめれば突き進むタイプなのか、「こういう課題があるね」と問題提起をしてあげるとそれに一生懸命取り組むタイプなのか。
〝飲みニケーション〟だけでなく、普段から「意識して観察する」ことを心がけて、時には「面談」という形でそれを伝えてあげると良いでしょう。

 

男性リーダーとしての評価も上げる実践プログラム

ここまで見てきたように、女性への「誤解」の認識、観察や接し方は、女性の活躍を推進していく大切なマネジメントポイントです。
また、リーダーに求められるのは、自分のチームを成長させ、メンバーの中から次代のリーダーを育てていくことです。
それを段階的に取り組む実践プログラムをご紹介しましょう。

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 STEP❶ 現状を把握する

 部下の強みや現状を把握するために個人カルテ(表①参照)を作成します。どれだけ部下のことがわかっているのかをみるのです。
まずは、自分でできる限り書き込んでみましょう。意外と部下のことを知らなかったなと思われるのではないでしょうか。
その後、それを部下と一緒に確認してみるのです。おそらくかなりの認識のギャップがあるはず。
そのギャップをしっかりと見つめることが現状の把握になります。
 そして次は、部下の具体的なスキルを知るためのスキルマップ(表②参照)を作成してみましょう。
業務に必要なスキルを全て書き出します。
次にそれぞれのスキルについて、人に教えることができる◎、誰かに聞きながらならできる○、まったくできない×という3つのレベルに分けて各自の評価を書き込みます。
 このスキルマップはリーダーが主体となってチーム全員で作成するほうが良いでしょう。
スキルは具体化しないと何を伸ばして良いのかわかりません。スキルマップを作ることによって、メンバー1人ひとりが今必要としているスキルがわかり、メンバーの成長を促進します。また、メンバー同士でのスキルを共有・継承していく仕組みにもなります。

 

 STEP❷ 将来像を共有する

長期的な視点でワーク面とライフ面の部下のなりたい姿を知ることです。現在、6カ月後、1年後、3年後、5年後までのキャリアプランを考えてみましょう。
 特に育休に入る女性はその前に面談しておきたいもの。育休に入る前の女性は、1年後に復帰したときのことがなかなか想像できずに、育休をキャリア上のマイナスと考えてしまいがちです。長期的なキャリアプランを一緒に考えることによって、育休をブランクと考えるのではなく、なりたい自分へのブラッシュアップ期間と考えることができるようになります。
 また、モチベーションが落ちている部下、私生活の時間に自己研鑽できていない部下、目の前のことで精一杯になっているような部下にも有効です。

 

 STEP❸ 成功体験を積ませる

STEP2で将来像を描きましたが、それを実現するには職場にはどんな課題があるのか。その課題を解決するために、私たちが提案しているのが働き方を見直していくための「カエル会議」です。もう少し具体的に言いますと、

 ■育児・介護などを抱えた社員も実力を発揮でき る環境づくり
 ■決められた時間内で最大の成果を出せる生産性 の高い職場づくり

これらを実現するためにチーム全員が主体的に話し合う会議のことです。
 カエル会議は、こうした職場の課題や不満に対して、周りを巻き込んでリーダーシップを発揮して改善していく成功体験を積ませることが大切な目的です。
 会議というとどうしても男性が仕切ってしまうことが多いので、女性にファシリテーター(議論のまとめ役)を任せていきましょう。
成功体験と同時に、会議での発言・提案の場数を踏んで、ファシリテーターとしての成長を促し、やりがいを感じてもらうのです。
 小さな事でも成功体験を積み、ファシリテーターとしての経験も重ねれば、クライアントにも自信を持ってプレゼンテーションできるようになるでしょう。

 
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 STEP❹ 成長を承認する

成功体験を承認すれば、本人もうれしいですし、新しい仕事にも積極的にチャレンジしていく自信がつきます。また、その女性が次期リーダーに向かって成長していくことは、ロールモデルとして、周りのモチベーションも高めていきます。

 

今、求められる新しいリーダー像とは?

このように見てくると、「今、求められるリーダー像」が浮かび上がってきます。

 ■部下を信頼して任せ、チーム力向上に取り組む。
 ■メンバーの発言に耳を傾け、安易に否定はしない。
 ■育児・介護者のモチベーションを高め、時間内で最 大限の活躍をしてもらう。
 ■部下をよく知る。ワーク&ライフを相談できる関係へ努力・工夫をしている。
 ■メンバーに期待すること・認めていることを日常的に言葉にして伝えている。
 ■チームへの貢献を評価する。

スーパーマンのような「すごいリーダー」ではなく、「このリーダーといると自分が最も成長できる」部下が思えるような人物こそ、目指すべきリーダーの理想像といえます。つまりいあ、求められているのは、部下をぐいぐい引っ張っていくリーダーではなく、部下たちが自主的に動けるように下から支えるフォローするリーダーなのです。
 実は、このリーダー像は、女性のほうが向いているのかもしれません。ぜひあなたの職場の女性にも、このようなリーダー像を伝えて、そんなリーダーとして期待していることを伝えてあげてください。
 女性が活躍するポイントはコミュニケーションです。ぜひ取り組んでみてください。

 

【2016年4月号】 女性が活躍できる企業になるための条件

4月より「女性活躍推進法」が施行される。この法律により、国・地方公共団体および従業員300人以上の企業は、女性を活用するための行動計画書や情報の公表等を行わなければならない。女性の活用は、日本経済の復興だけでなく、少子・高齢化による社会問題等の解決策にもつながるという。その背景や現状を知ることはこれからの企業経営にも大切だと話す、ワーク・ライフバランスコンサルタントの二瓶美紀子氏に伺った。

 

日本の潜在能力は「女性」!女性が働くと子どもが増える!?

少子・高齢化による労働力不足への対応は、日本社会にとっても企業にとっても緊急課題となっています。このため、女性の活躍に期待が高まり、成立したのが、女性活躍推進法です。
少子化による人口減少で労働力不足を解決するためには、出生率を向上させることが真っ先に思い浮かぶと思います。古くから日本社会には、女性が社会進出をしたから出生率が低下したという誤解があり、政府は配偶者控除など、性的役割分業を助長する政策を進めてきました。
ところが、実際はその逆だったのです。グラフ①「女性(25~34歳)の労働力率と出生率の国際比較」を見ても、女性の労働力率が上がるほど出生率も上がっています。フランスや北欧で出生率が近年上がっているのは、女性の就業率が高いからだということはよく知られています。
今の日本では、30代男性一人の収入では子ども1.3人分の養育費しか賄えないというデータがあり、女性の就業率が低いと、経済的理由で2人目の出産をひかえてしまう現状があります。夫一人が働いて家族を養う「片働きモデル」は経済的に成り立たなくなってきています。
このため、日本政府は女性活用と少子化対策を両輪で進めようとしており、今こそ日本の潜在能力である女性を活かさなければ、日本はこのままどんどん疲弊していってしまいかねません。

 

女性が活躍すれば、日本はGDP16%もアップする!
さらに興味深い統計資料があります。グラフ②をご覧ください。HDI(Human Development Index)というのは人間開発指数※1 を表し、日本は他の先進国と同じレベルにあることがわかります。そしてHDIが高ければ、女性の社会進出の度合いを示すGEM(Gender Empowerment Measure:ジェンダー・エンパワーメント指数)も通常は相関的に高いはずが、日本だけがとても低いのです。
これは日本の女性は高い教育を受けているのに社会に参画していない、活かされていないことを表しています。仕事か育児かの二者択一を迫られてきたのですが、別の視点から見ると、高い能力を持ったグラフ②の赤丸の中の女性こそが、今日本が活用すべき潜在労働力なのです。
ヒラリー・クリントン氏は、日本は女性の労働力率を男性と同程度に引き上げればGDPが16%も上がるという試算を紹介しており、これが、安倍政権が「女性活躍推進」を進める後押しになったともいわれています。
企業にしても、労働力人口が縮小していく中で、これまでのように男性を中心に採用していては優秀な人材が確保できなくなっています。女性の採用を積極的に実施すれば、より優秀な人材が確保できる確率は倍になるのです。
※1 保健、教育、所得という人間開発の3つの側面に関して、その国における平均達成度を測るための指標

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子どもが増えるヨーロッパに見る働き方

経済を「人口」という側面から見ると、いろいろわかってくることがあります。
社会を支える働き手である生産年齢の人口が多く、高齢者が少ない状態を「人口ボーナス期」と言いますが、この人口ボーナス期には社会保障費の負担が少ないため経済成長するのがあたりまえです。ただし、人口ボーナス期は1つの国に1度しか訪れません。社会が豊かになると親は子供の教育に投資するようになり、人件費が上昇し、より人件費の安い他国に仕事が流れていくからです。日本は90年代半ばで終わっており、中国はまもなく終了し、インドは2040年まで続くと試算されています。
逆に働く人よりも支えられる人が多くなる状況は「人口オーナス期」と言い、社会保障費の負担が急増し、経済成長は停滞します。日本は世界でもっとも早くオーナス期に突入してしまいました。それは少子化対策の失敗が要因です。長時間労働を是正できず、待機児童対策に真剣に取り組まなかったからです。
ヨーロッパでは、フランスの週35時間労働や勤務間インターバル規制※2 など、労働時間を規制することで、共働きでも夫婦で子育てできる時間ができます。しかも女性が働くことで経済的なゆとりが生まれて家計は安定。ヨーロッパではこうしたことが功を奏して出生率が上がっているのです。
※2 前日の終業から翌日の始業まで一定の休息時間を設ける規制で、例えば、EUでは原則11時間のインターバル規制がある。

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今の学生は、仕事と生活が両立できる企業を望んでいる

女性活躍を推進することは、今、企業にとっても大きなメリットがあります。
日本では、2008年のリーマンショックが団塊世代の一斉退職と重なり、多くの企業が新卒の採用を抑えることで社員を減らしてきました。ところが、業績が回復し優秀な若い人材を確保したいと計画しても、今や新卒は売り手市場。中小企業では募集しても応募がない場合もあります。しかも学生は、終身雇用が常識だった頃の就職観とは違い、1つの会社で一生働くとは考えておらず、仕事だけでなく生活も充実させられる企業に人気が集中しています。今、学生が企業を選ぶ視点で6年連続1位になっているのは「仕事と生活を両立できる企業かどうか」なのです。
「女性活躍推進法」に先駆けること10年前に「次世代育成支援対策推進法」が制定されています。この法律により、仕事と子育ての両立を図る職場環境があると認められた企業は厚生労働省から「くるみんマーク」がもらえます。就活する学生たちは、今、このくるみんマークのある企業にかなり注視しており、今後、優秀な人材を確保したければ、「女性活躍推進法」で認定マークを持っていることが、必須事項になることは間違いないでしょう。
つまり、女性が働きやすく、女性が活躍できる「ワーク・ライフ・バランス」が整っていない企業は、男性も含め優秀な人材を確保できない状況になっていることを企業のトップは知っておかなければなりません。

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女性が活躍できない職場とは?

①長時間労働
長時間残業が恒常化すると何が起きるかというと、例えば重要な会議が夜8時から開かれたりします。すると子育てをする女性社員は参加できずに、重要な意思決定に参画できなくなります。
他にも、出張、転勤、残業が出世の条件となって、それを断る女性は評価されないということが女性活躍の障害になっているケースがあります。長時間残業を前提とする働き方そのものが是正されなければ、女性の活用は難しいのです。
「マネージメントの意識」とは、どのように人を評価するかということです。これまでは、短い時間内に効率よく生産性を上げている人よりも、だらだらと働いて遅くまで残業して成果を出している人を評価してしまうことがよくあったと思われます。
成果主義にしても、期間あたりの仕事を質と量の掛け合わせで評価していると、残業をたくさんしている人が評価されて、時短の女性は評価されませんでした。一定時間内にどれだけ生産性の高い仕事をしたかが評価されれば、時短勤務の女性もモチベーションを高くして働き続けることができます。
マネージメントの意識を変えるには、まずは評価制度の見直しです。本来の成果主義である「時間当たりの生産性」を評価すること。遅くまで働いたことを「がんばったね」と評価するのではなく、仕事そのもの、時間当たりの成果を評価すれば、女性も働きやすくなります。

②ロールモデルの不在
さらに、女性が活躍できない職場の特徴を挙げると、それはロールモデル(模範・手本)の不在です。例えば入社10年の女性先輩社員というと、出産後も残ってはいるもののあまり評価されずに割り切って働いている女性と、結婚も子どもも諦めてなんとか頑張っている管理職の女性、という女性像をイメージしてしまいがちです。
きちんと家庭を持ちながら仕事でも活躍しているロールモデルがいれば、仕事の壁にぶつかったときでも、成長した後の将来像を心に描いて頑張れるもの。
政府は2020年までに女性管理職を30%にする目標がありますが、企業もこのロールモデルが育つように、女性社員の育成を意識して、若いうちから長期的キャリアを考えられるような支援することが重要です。

 

 

女性が活躍できるよう、企業として取り組みたいこと

消費者の嗜好はますます多様化していて、消費行動の中心には女性がいます。果たして商品やサービスを提供する側が男性ばかりで本当に大丈夫なのでしょうか。
ここで重要なのは、女性が社内にいるだけではダメで、意思決定層に複数の女性がいることです。男性が居並ぶ会議に一人だけ女性を加えても、本当の意味での経営参画には至りません。
女性の活躍がめざましい企業では、管理職に昇格する女性が複数になった時点で一気に彼女たちを幹部に登用し、経営会議に参加してもらうなどの工夫をしています。女性の活躍は経営戦略の一環だと考える企業は、今、とても伸びています。
これをダイバーシティ&インクルージョン(Diversity&Inclusion)と言います。ダイバーシティだけではただ多様な人たちがいるだけです。その多様な人たちそれぞれが自分の持ち味を発揮し、きちんと組織に貢献し成果を出せる戦略がダイバーシティ&インクルージョンです。
最後に、経営戦略として女性活躍を推進していく企業のトップとして、今、取り組まなければならないことをまとめます。
■長時間労働の是正/短時間で生産性を上げる仕組みづくり、時間当たりの生産性を正当に評価する仕組みづくりをすること。
■女子学生に選ばれるブランディング/くるみんマーク、女性活躍推進法の認定を受けること。
■社内ロールモデルの構築/複数の女性を幹部に登用してみること。若い女性が「あの人を目指して頑張ってみよう」と思える先輩女性社員を育てること。
女性活躍推進法の施行を一つのきっかけとして、本当に女性が活躍できる組織作りにぜひ取り組んでいただきたいです。

 

【2016年3月号】 できるビジネスマンはここが違う!「すぐできる」脳にする10の習慣

部下のやる気は、上司のちょっとした言葉に左右されるものです。
そこで今回はどういう言い方をすれば、
部下は気持ち良く行動できるように変わるのでしょうか。
人材育成コンサルタントの吉田幸弘氏にうかがいました。

 

事務女性に「お茶出し」を頼むとき

 来客時に事務女性にお茶を頼むことは日常茶飯事のことと思います。
 「小林さん、A会議室のお客さんにお茶を出しておいて」なんて言ってないでしょうか。こう言うのは部下を駒のように思っているのかもしれません。上司と部下は上下関係ではなく、役割が違うだけ。そこを勘違いしていると、部下はそのうち、やる気がなくなり、最低限の仕事をこなしていればいいやと、質の低い仕事しかしなくなります。「私だって忙しいのに……」なのです。
 「お茶出し」は雑務ではありません。大事な商談なら、好印象を与える大切な機会にもなり、今でもそうした対応にうるさい人はいるものです。
「小林さん。大切な商談なので、小林さんにお願いしたいんだ」
「小林さん。いつもありがとう。前回の対応が良かったと先方がおっしゃっていたから、小林さんなら安心だ」
 「小林さんだから頼みたいんだ」というのがポイント。そしてお茶出し一つにしてもねぎらいの言葉があれば、本人もやる気を出すこと請け合いです。
 ただここで注意してほしいのは、小林さんばかりに偏らないようにしましょう。私は頼んだ仕事だけでなく、食事や飲み会など、部下ごとの回数を記録しておきました。「なぜ、小林さんばかり」といったジェラシーはチームワークにはよくありません。

 

急ぎの仕事を頼むとき
 急な仕事が入ってきてどうしても部下に頼まなくてはならないこともよくあるでしょう。
 「急ぎの仕事なんだけれど、頼んだぞ」という命令口調的な言い方だと、「なぜ私なんだ?」「空いている人なら誰でもいいのか?」「この仕事を急いでやることにどんな意味があるのだ?」と反発するかもしれません。
 まず模範例を示すとしたら、
「急ぎの仕事が入ってきたんだけれど、時間がないので一緒にやってもらえないかな」
 「一緒にやってほしい」と頼まれると「丸投げ感」「やらされ感」は出ません。逆に上司を「助けている感」が出て、躊躇することなく動いてくれるのではないでしょうか。
 急ぎの理由を明確に伝えるのも大切です。優先してやるにはそれ相当の理由がないと人は動きません。「もし決まれば大きな取引となり、その決定会議が来週にせまっているから」というのであれば、部下も優先して動いてくれるでしょう。「なる早」ではダメです。
 さらにここで重要なのはなぜその人に頼むのか、という理由です。「いいから手伝ってくれ」では、私でなくてもいいのでは? と積極的にはなれません。「君は正確だから」「君の発想力が頼りなんだ」と、相手の自尊心をくすぐるのがポイントです。

 

プロジェクトを特命したいとき

 特定の部下にプロジェクトを任せたいときは、前述の理由のように、なぜ君に任せたいのかを明確に伝える必要があります。
 ただ、プロジェクトとなると仕事としては大きいので、単に自尊心を満たすだけではなく、いろんなアレンジが必要です。いくつかのタイプにわけて考えてみましょう。
■キャリアップ志向の部下
 昇進・昇級を重視するタイプなら、「ポジションが上がる可能性もあり、他の人には任せられない」と言えば、俄然やる気が出てくるはず。
 また、チャレンジ精神旺盛な部下なら「業界初」「難関」といった刺激的な言葉を選んで、まだ誰もやったことのない感を投げかけると元気に取り組んでくれるでしょう。
■リスク回避志向の部下
 安定を求め、リスクを避け、失敗するのは嫌だという部下。このタイプはプロジェクトを受けた後のリスクを考えますので、リスクが小さいことの安心材料を提示してあげましょう。「関連部署への根回しはしてあるから」「以前経験したメンバーにも入ってもらうよう声を掛けてあるから」とか。
 そして、「何かあっても私も責任を負うから」と、部下だけが責任を負うのではないことを伝えて安心感を与えるのです。
■自由志向の部下
 束縛を嫌う部下もいると思います。そういうタイプの場合、自分の裁量でできるかどうかでやる気が変わってきます。ですから、本人が思うように仕事を進められるようにしてあげることがポイントです。ただし、自由にさせてとんでもない方向に行かないよう「これとこのポイントは押さえてくれたら、あとは君の自由な発想でやってほしい」と言えば、張り切ってやってくれることでしょう。

 

成績の悪い部下を変える言葉

 ここまではさまざまな仕事を任せる時のケースを見てきました。次は仕事を任せた後を見てみましょう。
 まずは成績がよくないケースです。
 「やる気あんのか?」「いつになったらよくなるんだ?」はNGです。成績がふるわない時はつい注意してしまいがち。部下も上司に近づきたくありません。成績が悪いときは報連相も途絶えがちなので、部下が相談しやすい雰囲気をつくることが必要です。
 部下と相対したとき、まずは少しでもいいところを探す。つまりなんでもいいので褒めます。
「君はいつも期日どおりに報告書を出すよね」
「君の提案書はわかりやすくていいよ」
「この前、同行したときのことだけど、導入部分は丁寧で良かったよ。後はクロージングだね」
 実はいい部分を探すのって結構大変です。私が指導する研修やセミナーで、部下の欠点をあげてもらうとスラスラ出てくるのですが、長所はというと、なかなか出てきません。部下のことをよく観察して、知ることが大切です。
 そして、前回のことは言わないようにしましょう。成績の悪いのを指摘したりすると、つい前回のことを持ち出して言ってしまいがち。「あのときもそうだった」「この前と同じミスじゃないか。この前は……」と。
 成績が上がらないのは原因があるからで、それを追求することです。「何故」ではなく、「何が」のほうがいいでしょう。「何故」になると自分に原因があると考えてしまい、「何が」だと事柄を追求していくことになるので客観的に原因をつかめます。
上司「お疲れ様。小林君の提案書、わかりやすくてよかったよ」(まずは褒めてリラックスさせる)
部下「ありがとうございます」
上司「さて、来月で今期も終わるけど、数字的には厳しそうだね」(事実を話す)
部下「はい。申し訳ありません」
上司「謝らなくていいんだよ。頑張っているのはわかっているから」(信頼していること、きちんと見ていることを伝える。もしサボっているのならその部下はここで反省するはず)
部下「はい」
上司「営業活動の中で何か困ったことはある?」(成績を責めるのではなく、原因を探ろうとしている)
部下「新規契約がなかなかとれません。訪問はできるようになったのですが、クロージングには至らないんです」
上司「訪問できるようになったんだ。それは良かった。どんなふうに話を進めているのかな? 話の進め方とか提案の仕方を一緒に考えてみようか」(成長を認める)
 まずは褒めて、リラックスさせれば、相談しやすい雰囲気ができます。やみくもに叱っても逆効果。成績の上がらない原因や問題点を見つけて解決を図るのが理想的です。

 

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期日までに仕上げられない部下

 「今朝までに」と頼んでいた仕事が仕上がってない。よくあることだと思います。イライラしてつい「なんで、間に合わないんだ!」とか、「君はいつもだな!この前も遅れたよな。いい加減にしろ!」と怒鳴ってしまう。部下は「すみません」と繰り返すばかり……。その場で否定するのは絶対にNG。必ず遅れた理由があるはずです。
 よく遅れる部下は、往々にしてスタートが悪いようです。月曜日に「今週の金曜日15時には欲しいんだ」と頼んだら、期日の金曜日の朝からやり始めたりします。上司は、任せる仕事がどのくらいの時間で処理できるのか見積もって、時間配分をアドバイスしたり、進捗状況をチェックしたりする必要があるでしょう。
 また、上司が例えば4時間と見積もったけれど、部下はその作成ソフトに慣れてなくて8時間かかることだってあります。さらに別件の仕事を抱えているのかもしれません。
 ではこの場合、どのように話をもっていけばいいのか。好例を紹介しましょう。
部下「まだ、できていません」
上司「遅れている要因は何かな?」(「何」に焦点を置いているので本人への責任追及とは感じさせない)
部下「あれから見積り作成の依頼が2件も入ってきたものですから」
上司「そういうときはすぐに報告してよ。対応を考えるから」(部下の言い分を受け止める)
部下「わかりました。次回からそうします」
上司「では、いつ仕上がりそうかな?まだ他に急ぎの案件はある?」(他に抱えている仕事の確認)
部下「正午までに資料リストの作成が1件あります」
上司「では、明日の正午までで大丈夫かな?この件でわからないこととかあるかな?」(段取りの確認)
部下「はい、大丈夫です。疑問点もありません」

 

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口先ばかりで動かない部下

 意見はいいことを言うけれど、いざ、頼むと尻込みし、引き受けようとしない部下。いわゆる行動が伴わない部下も、やっかいです。「口だけでなく行動してもらわないと困るよ」と言ってしまうと、それは押しつけになり、部下は言い訳をして逃げようとするでしょう。
口先だけの部下には、なんとか行動する大切さを学ばせたいものです。まずは心理的に考えると、おそらく「自信がない」のでしょう。また、その仕事分野が苦手なのか、ミスをおかしたくないのか、責任を負いたくないのだと思われます。
 そんな部下なら、こう言うのはどうでしょうか。「小林君がいい意見を出してくれたので、小林君中心に一緒にやってみようよ」と。この「一緒に」がポイントです。上司も一緒に責任を負ってくれる、フォローしてくれる、と安心感を与えることです。行動の一歩が踏み出せないタイプならなおさらこの「一緒に」と言われると、「やってみよう」と動き出すと思います。
※会話文の例は、吉田幸弘氏著『部下のやる気を引き出す上 司のちょっとした言い回し』(ダイヤモンド社)より抜粋・編 集しています

 

【2016年1・2月号】 できるビジネスマンはここが違う!「すぐできる」脳にする10の習慣

ビジネスの現場は、セオリーどおりにはいかない事の連続です。
予想外の出来事が起きても素早く対応できる、
いわゆる「頭の切り替えが早い」脳にするためには、
普段からどんな習慣を心掛けていればいいのでしょうか。
神経内科の医師であり、テレビや多数の著書でおなじみの
米山公啓医学博士に寄稿いただきました。

 

 私たちの脳はどうも同じことを好むようで、日常を考えても同じ時間に起き、駅のホームの同じ場所に立って、同じ電車に乗っています。しかし、仕事で要求されるのは、オリジナリティであり、大きな変革と素早い判断です。
 となってくれば、日常生活の中で脳の切り替えを早くしたり、いわゆるできる脳にしておくために、努力する必要があります。 

 

①だれよりも新しい物を早く手に入れる

 ネット通販が主流になってきても、限定商品などは、ショップに行かないと手に入らなかったり、実際に並ばないと購入できないこともあります。
 欲しいと思ったとき、それを迷わず買ってしまう習慣と判断力をつけておくことが重要です。お金を支払うというリスクに対して、迷わず行動できることは、自分の判断に自信がないとできないものです。無駄な物だから買うのをためらうとか、実際に物を見てからにしようでは遅いのです。新しい物の情報を手にしたら、その情報だけで購入する判断力は、仕事にきっと役立ちます。
 そのためにも、やはり実際に購入する努力をすべきです。

 

②短い時間の気分転換テクニックを持つ

気分転換テクニックを持つ
 脳はずっと考え続けることはできません。どこかで休ませる必要があります。そのためには、3分でも5分でも短い気分転換を、自分なりの方法を持つことが重要です。
 机から立ち上がり、コーヒーを飲むというのも無意識に行っている気分転換ですし、ちょっとチョコレートを食べるということでもいいでしょう。
 もう少しで終わるから頑張ろうではなく、思い切って休憩を取ることが、脳を常に活性化させておく秘訣です。
同じ刺激には次第に反応しなくなってくるのが脳の基本的な反応です。
 休む時にはできるだけまったく関係のないことを考えたり、行動すべきです。
 席を立って、気分転換できる環境にいないなら、iPadにペン入力で絵を描いてみるなど、右脳的な刺激のほうがいいでしょう。

 

③すぐに目の前の仕事を辞める勇気を持つ

目の前に仕事があれば、これをやらなくては帰れないとか、午後7時から宴会があるのに、あと30分頑張れば終わると言って、結局仲間との宴会に間に合わない、ということになります。
 そういうタイプの人は常に時間に遅れてしまうものです。その時間に遅れるということが、仕事の約束にも出てしまうことがあります。自分の時間コントロールができなければ、脳の切り替えもうまくいかないでしょう。
 そのためにはまず、時間前にさっと仕事を中断できる勇気が必要です。あとからその仕事をしても、最後までやれるという自信が必要です。
 目の前の仕事を中断しても、なんとも思わないということは、自分の仕事能力に自信がある人です。
 最後までやりきらないと落ち着かないでは、脳の切り替えはできません。
 1分前まで仕事に追われていても、1分後には、カラオケで大声で歌える脳の切り替えの素早さこそ、能力のある証拠です。
 いまにこだわらず、先のことを優先できる勇気を持ちましょう。

 

④とにかく歩いてくる

 イライラしたり、仕事がうまくいかない、アイデアが出てこないとき、机の前で悩むのではなく、思い切って外に出て歩いてみましょう。
 歩くことで、実際に記憶力もアップしますし、脳を前向きにする脳内物質であるセロトニンの分泌も高まります。
 仕事に行き詰まったと感じたら、外を歩いてみましょう。脳のリセットにもなりますし、全く別な外の風景を見ている間に、思わぬアイデアが生まれることも多いものです。
 同じ思考回路に陥ってしまえば、そうそういい考えは出てきません。
 迷うことなく、外を10分でもいいので歩いてみましょう。

 

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⑤新幹線の中で読書に集中する

 集中力がもっとあればと思うことが多いかもしれません。しかし、人間の集中力はそうそう持続しないのが普通です。
 スポーツではゾーンに入るという言い方があります。ほとんど無意識で最高のパフォーマンスができる状態です。ビジネスマンであれば、最高に集中している状態と同じでしょう。
 その最高に集中した時間を経験すると、その快感が忘れられなくなり、集中することが楽しくなってくるものです。
 集中するためには、どこか不便で限られた空間がいいのです。それには新幹線のような列車の空間と、移動する2時間はそこから逃れようがないという設定も重要です。
 まったく自由な空間で時間もたっぷりあるという環境では集中力は上がってこないものです。
 新幹線に乗るときは、本でも雑誌でも少し高度な一冊を持って、完全に読み切る努力をしましょう。時間を有効に使えたという喜びと、何かを学んだという気持ちが、集中力の意味を実感できるはずです。時間を忘れてしまった、それこそが集中できた結果です。

 

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⑥持論を語れる相手を持つ

 脳の中で考えていることと、自分が口にすることではまったく意味が違ってきます。言ったことには責任が生じてきますし、他人への影響力を持ってきます。そこが重要です。自分の考えを人に語ることで責任感を感じるようになり、行動にも変化が起こるからです。語ることで、判断の素早さ、結論を出す勇気なども生まれ、素早い思考回路を作れるようになるからです。
 悩んでいるだけでは駄目です。それを誰かに語ることが大切です。そのためには利害関係のない友人がいるかどうかでしょう。

 

⑦迷ったら寝る

 睡眠は脳を休ませるのではなく、脳を非常に活性化します。寝て起きたらいい考えが浮かぶというのは、寝る前の様々な情報の整理を行った結果なのです。
 日中は長く寝るわけにはいかないかもしれませんが、10分でもいいので、ちょっと寝てみましょう。寝ている間に脳内の血流量と脳を刺激する神経栄養因子も増えます。
 バラバラになっていた情報の整理ができて、想像もしていなかった結果を出すかもしれないのです。
 重要なところは、考えながら寝ていくことです。休むのではなく、悩みながら寝ることで起きたときに解決案が思い浮かぶのです。
 決断ができないとき、思い切って寝てしまいましょう。

 

⑧1知って10の結果を予測する

 情報がとにかく多い時代です。ネットで調べればかなりの情報が手に入ります。しかし、情報が多いから素早い判断ができるわけではありません。むしろ情報が多いために、迷いも増えてしまいます。
 少ない情報から、相手を読んだり、直感的な決断をしてしまうということは重要でしょう。直感的な判断はいい加減ではなく、たぶんそれが正しいことが多いのです。それは訓練をされた脳であればあるほど、正しい決断のことが多いものです。
 仕事ができる人は、多くの情報を得なくとも、自分の予測や想像力で正しい判断を下していきます。少ない情報で結論を出す訓練は直感的な判断力をもたらしてくれます。

 

⑨食事は抜かない

 脳のエネルギーは基本的にはブドウ糖だけです。ブドウ糖の元は炭水化物、つまりご飯、麺類、パンなどの主食から、からだの中で作られます。
 ブドウ糖はからだの中に貯蔵しておける量はわずかなので、補充していく必要があります。朝食を抜くことは、やはり脳へのブドウ糖供給が減ることになるので、きちんと朝食を食べるのは、ビジネスマンの基本です。
 もちろん昼食、さらには午後2時か3時のおやつ、夕食なども、時間通りに摂っていきましょう。
 脳へのエネルギー補給は基本中の基本です。

 

⑩瞑想する時間を持つ

 とにかく日中は様々な情報が脳に入ってきて、むしろ判断力を鈍らせてしまいます。もちろん夜寝ることでリセットはできますが、日中でも一度、脳のリセットをする必要があります。 
 できる限り五感を刺激しない状態が大切です。つまり目をつむり、力を抜いて楽に椅子に座って、頭の前に温かい太陽のような丸いものをイメージします。
 そんな時間を5分でもいいので作ってみましょう。リセットされた脳は再び活気を取り戻すはずです。素早い判断能力もよみがえってきます。

 脳を刺激したり、休ませたりする日常での工夫は、慣れてくれば意識しないでできるようになるはずです。そうなれば、素早い判断力が身についた証拠です。

 

【2015年12月号】 中小企業は、 ニッチで差別化! ニッチに多角化!「ドラッカーの ニッチ戦略」

中小企業や零細企業にも生き残り方、戦い方がある――。
ドラッカー理論を活かして、 大企業にも手の出せない
「ニッチ」を考えることだと話す、藤屋伸二さんにうかがいました。

 

ニッチ戦略という発想

 中小企業が、勝ち残っていくには「ニッチ」がキーワードになります。ニッチで差別化を図り、ニッチで黒字化を図るのですが、それには限定的なニッチ市場でNo.1になり、儲かる複数のニッチ事業を持つ多角化が勝ち抜いていく戦略となります。
 戦略を立てるには「細分化」と「位置づけ」を行うこと。つまり、戦う場所を決めるのです。そして何で戦うのか、自分たちのセールスポイント、武器を見定めること。勝てる市場で勝てる武器で戦う。ドラッカーのニッチ戦略は実にシンプルです

 

競合の少ない市場を狙え

 ドラッカーはニッチを「Ecological niche=生態学的ニッチ」だと言っています。つまり棲み分けること。例えばナマケモノという動物。動きは遅く、力もなく弱いですが、木の上なら食べる物もあってしっかりと生きていけます。それと同じです。
 ニッチというと隙間とか、小さく閉じたイメージがありますが、そうではありません。フェラーリ社は、年間7千台造って年商は3千億円。1台当たりの営業利益は5百万円を超えており、ベンツで80万円、トヨタでも20数万円。最近、ニューヨーク市場に上場した際の時価総額は1兆2千億円。年間僅か7千台しか造らないのに。これがニッチなんです。競争しない市場だから儲かるのです。中小企業のお手本といえます。

 

ニッチ戦略の極意の一つ、それは「競合しない」こと

 日本でも例があります。[図❶]の5位ワッツという100円ショップ企業の戦略が面白いのです。
 アクセスのよくないスーパーなどの一角に居抜き出店というスタイル。小規模、内装にも金をかけません。毎年100店出しても、半分は閉店します。いつでも速やかに退店できるようにしており、敷金の返還も家主ときちんと取り決めているそうです。
 なぜそんなことをするのかというと、ダイソーが来たらすぐに逃げるため。競合しても勝てないのはわかっています。逃げるが勝ち。さっさと逃げて、別の街に新しい店舗を探す。それでいて上場もしていますし、400億円を超える年商がある。これも優れたニッチ戦略といえます。

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そのニッチ市場とは

■強者の既存の利益に反する市場
 ビール業界の歴史を見ると、キリンはラガーで黄金期を築きましたが、アサヒがスーパードライで逆転しました。悔しくてもキリンはラガーの熱処理型で、スーパードライの非熱処理型には挑めません。コンセプトが違うので、ラガーの存在を否定することになるからです。それでスーパードライは一人勝ちとなった。そして今度は発泡酒が出てきて、キリンは淡麗で勝ちました。熱処理、非熱処理、発泡酒と、ビール業界は、既存市場の強者に反する戦略で挑むモノがNo.1を勝ち取っている歴史があるのです。
■差別化できるまで絞り込んだ市場
 スマホは、たくさんの機能を揃えた総合化という流れの中で、シニア向けのボタンは3つだけのシンプルなもの。あれだけ絞り込むと、市場が小さ過ぎて総合化の市場は参入できません。実は60代、70代の人たちは子どもや孫とコミュニケーションができるからメールが大好きです。電話や訪問だけでないコミュニケーション手段としてのメール。これに特化して成功している企業もあり、まさにニッチ戦略です。
■今までのやり方では儲かりそうにない市場
 「俺のイタリアン」なんてまさにこれ。立ち食いさせて、飲み物で稼ぐわけです。高級レストランでは単価を下げなくてはいけないので絶対真似はできません。強者が入って行けないのがニッチ市場なのです。
■手間がかかる面倒くさい市場
 利益を上げるため効率を求めるのではなく、逆にこだわりを徹底的にやると顧客満足が高まってそれが付加価値になります。付加価値には値段が付きます。高額商品を扱っていても成功しているところはあります。
■技術力を要するなど敷居が高い市場
 大企業がやっても採算に合わない市場。10億円や20億円なんて市場は、大手は相手にしません。そういう市場こそ中小企業の土俵、ニッチ市場といえます。

 

『ここ勝つシート』活用法[図❷(次頁)]

 ニッチ市場を見出し、どうやって戦略を打ち立てていくのか私が考案したシートで見て行きましょう。
■対象事業を書く
 誰に何を提供する会社なのか。それを明確にしなくては話になりません。「うちは建材業です」ではだめです。もっと絞り込みましょう。市場に提供すべき満足や差別化の領域を決めるのが事業の定義。さらにドラッカーは規模に関するものが事業定義の最終結論だとも言っています。つまり、大規模になろうと努めるのか、小規模に留まるのか、です。
■事業目的を決める良い例
 良い例として「顧客の事務管理部門に対し、近代的オフィスに必要な機器や消耗品を供給する」という事業目的。これだと誰に何を提供するのかよくわかります。電卓からパソコンに変わっても対応できますし、パソコンからクラウドになっても対応できます。少々経営環境が変わっても、事業の目標定義を変える必要はありません。
 もう一つの好例は「当社の事業は、商品のなかに食品店と主婦の労力と技術を組み込むことである」。これだと惣菜でもレトルトでもカット野菜でも対応できますよね。外食か自宅で作る以外は対応できるということです。
■事業目的を決める悪い例
 悪い例としては「当社の事業はテレビ受像機である」。これだとテレビがなくなってしまえば終わりです。事業目的が狭すぎます。
 逆に「当社の事業は娯楽である」では広すぎます。事業展開の意志決定ができません。娯楽ならなんでもいいわけで、やる・やらないの判断が難しくなります。それでは事業目的としてふさわしくありません。
■自社の本当の強みを確認する
 「自社の強み」はじっくり考えなければなりません。私のところの塾生でクリーニング店を多数出店されている方に「強みは?」と聞くと、「地元のスーパーに入っていることです」と答えました。でもそれは結果であって、よくよく聞くと、「丁寧で確実でクレームも少ない対応」ということがわかってきました。これこそ強み。しっかり考えてください。
■対象市場を決める・事例①
 私はよく「中間サイズの金属加工」を例に出しますが、これも塾生の話です。
 小さな町工場では時間あたりの加工単価は4千円ほどだといいます。何トン、十何トンの加工をする大手では時間単価は7〜8千円です。それで、小さい工場では造れない物件を、塾生の工場では対応できるのですが決して規模は大きくなく、中間の工場といったところ。なのに大手と同じ7千円ぐらいは取るのだそうです。時間単価3千円〜7千円の仕事をこなし、旋盤もフライス盤もできる。こんな工場は少ないそうです。これがニッチなんです。今も相当忙しいと言っていました。
■対象市場を決める・事例②
 すごく腕のいい整骨院さんとコラボして機能回復型デイサービスを展開する「きたえるーむ」。機能回復プログラムだけでなくマッサージもしています。さらにお茶などでおしゃべりの時間も取り入れているとか。年配の方に不足しているのは会話です。気持ち良くなれて、おしゃべりも楽しめるから元気になって帰ってきます。すごく人気だそうです。
 全国にFC展開をして今80店舗位ですが、1店舗あたりの営業利益が1650万円、営業利益率は29.5%。500店舗を目指しているとか。こんなリハビリにマッサージを取り入れているところなんてありません。まさにニッチです。
■戦略目標を決める
 「○○分野で東北No.1になる!」「3年後に△△で□□を達成!」という具体的な目標は足並みを揃える意味でも大切です。いつまで、どのレベルにまでという目標の方向が明確であれば、従業員も一生懸命に頑張るものです。
■キャッチコピーを決める
 これは絶対に必要です。「あったらいいな! を形にする」「お、値段以上 ニトリ」「お口の恋人ロッテ」等々。
 そして今回のテーマをキャッチコピーにするのなら「中小企業は、ニッチで差別化! ニッチに多角化!」ではないでしょうか。多角化は、一つの事業を広げるという意味ではなく、ニッチで得た差別化のノウハウで、別のニッチに取り組むということです。
■ペルソナを設定する
 ペルソナとは「象徴的な顧客像」のこと。自社商品のセールスポイントの価値を認め、買ってくれるだろうと思われる会社像・個人像です。例えばカルビーのジャガビーのペルソナは「27歳、独身女性、文京区在住、ヨガや水泳に凝っている」としました。CMにはそんな顧客像が読むであろう雑誌のモデルを使い、好むであろうデザインでパッケージを作成して大ヒット。
 会社なら、社名、設立年月日、沿革、理念・価値観、住所、従業員数、業種・業態、主な取扱商品、主な取引先、売上高、営業エリア、流通ルート、取引銀行などから企業像を設定しましょう。
■セールスポイントを決める
 ペルソナで企業像・顧客像が絞り込まれれば次はセールスポイントです。
◉うまい、はやい、やすい(吉野家)
◉うまい、やすい、ごゆっくり(吉野家)
◉ハイセンス、ハイクオリティ、ロープライス(クー レンズ)
 既存のセールスポイントは、いいお手本がたくさんあります。
■日常業務に落とし込み、スケジュール化する
 セールスポイントを実現するために、業務を体系化することです。例えば、[図❸]を見てください。「うまい」を実現するにはどうしたらいいのか。「見た目が美味しそう」「香りが良い」「味付けが良い」という日常業務に落とし込んでスケジュール化[図❹]します。ここまでやってはじめてこのニッチ戦略は機能するのです。
 

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【2015年11月号】 準備はできていますか?ストレスチェック制度が スタート!

今年12月1日より、「ストレスチェック制度」が義務づけられます。
50人以上の労働者がいる事業場が対象で、
年1回のストレスチェックを実施しなければなりません。
どのような制度で、そして、企業等はどう対応しなくてはいけないのか――。
その概略を紹介しましよう。

 

労働者のメンタルヘルスは今や重要課題の一つ

 改正労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度は、厚生労働省によると「定期的に労働者のストレスの状況について検査を行い、本人にその結果を通知して自らのストレスの状況について気付きを促し、個人のメンタルヘルス不調のリスクを低減させるとともに、検査結果を集団的に分析し、職場環境の改善につなげる取組」とあります。また、同省導入マニュアルには「〈うつ〉などのメンタルヘルス不調を未然に防止するための仕組み」とも書かれています。
 この制度を導入する背景は、近年、うつなどの精神疾患で悩む労働者の急増があり、精神的な不調は休職や自殺の引き金になるばかりでなく、生産性を低下させ、企業等にとっても無視はできません。
 同省の統計データによると、うつ病と診断された人は2008年に100万人を突破。うつ病や統合失調症、不安障害等を含めた精神疾患の患者数は2011年で320万人を超えているのです。職場に1人のうつ病の人がいるとその職場には7人の予備軍がいるといわれています。メンタルヘルスへの対応は労働環境の大きな課題といえるでしょう。

 

ストレスチェック制度とは

 この制度の概要を整理しておきましょう。
◉「ストレスチェック」とは、ストレスに関する質問票
(選択回答)に労働者が記入し、それを集計・分析することで、自分のストレスがどのような状態にあるのかを調べる検査のこと。
◉2015年12月から、毎年1回、労働者が50人以
上いる事業場での検査実施が義務づけられる。(2015年12月1日から2016年11月30日までの間で1回目を実施すること)
◉対象となる労働者は一般定期健康診断の対象者と
同様。ただし、労働者にはストレスチェックの検査を受ける義務はない。※契約期間が1年未満の労働者や、労働時間が通常の労働者の所定労働時間の4分の3未満の短時間労働者は努力義務。
◉ストレスチェックの結果は実施者(医師等)から直
接本人に通知される。
◉高ストレスとの結果が出た労働者が面接指導を
希望した場合、医師による面接指導を実施すること。
 さて、どのように実施していけばいいのかは、厚生労働省がホームページで掲載している「ストレスチェック制度 簡単! 導入マニュアル〈実施手順〉」(図①)をもとに、主な留意点を見ていきましょう。

 

ますますやる気が出る「レッテル褒め」

 部下に自信をつけさせ、部下の実績や能力に気付いていることを伝えるのが「レッテル褒め」です。
 以前、私が勤めていた旅行会社で「リゾートのことなら吉田に聞け」と言われたことがありました。たまたまリゾートホテルで過ごす企画が受注になっただけで、リゾートに詳しい人は他にもっといるはずと思いました。でも、これからさらに頑張らないといけないとプレッシャーを感じましたが、認めてもらえた喜びもありました。
 「この企画ならA君だ」
 「この業務ならBさんだ」
 と、オーソライズ(権威づけ)すると、部下もその分野のスキルをより磨こうとします。
 それからミーティングなどで、レッテルを貼った分野についての「講師」をさせてみましょう。これは社歴の浅い、若年層の部下に自信をつけさせるにはもってこいの方法。もちろん自信をつけるという意味では、ベテランでも、昇進が遅れている人や自信を失くしている人などにも「レッテル褒め」と「講師」は効果的です。
 といっても赴任したばかりでしたら、まだわからないので、部下をよく観察することです。それも、「彼のストロングポイントはなんだろう?」と強みをまず見つけることで、その次に弱みを見つければいいのです。弱みはすぐに見つかるものですが、強みはなかなか見つけにくいもの。それが、この「レッテル褒め」をしていると、部下の強みを見つけるのがうまくなるものなのです。

 

実施前の準備段階

□ストレスチェック制度を実施する旨を発表して おく
労働者自身によるセルフケアや職場環境改善を通じてメンタルヘルスの不調を未然に防ぐのが目的です。不調者の発見だけが目的ではないと法令で明示されていると伝えましょう。
□事業所の衛生委員会で、ストレスチェック制度の 実施方法などを話し合う
誰に・いつ実施するのか、どんな質問票を使うのか、どんな方法でストレスの高い人を選ぶのか、面接指導はどの医師に依頼するのか、結果は誰が、どこに保存するのか等を話し合っておきます。
□決まったことは社内規程として明文化しておく
□実施者は職場の上司などではない
ストレスチェックを実施する者は、医師、保健師、厚生労働大臣の定める研修を受けた看護師・精神保健福祉士の中から事業者が選ぶこと。外部委託は可能。※産業医でも、自身の人事権が及ぶ部下にはストレスチェックはできません。つまり、対象となる労働者の人事権を持っている人は実施者になれません。
□実施者をサポートする実施事務従事者を置く
実施者の補助をする実施事務従事者を社内に置くといいでしょう。質問票の回収、データ入力、結果送付など、個人情報を取り扱う業務を担当。実施者同様、人事権を持つ人はなれません。外部委託は可能。
□面接指導を担当する医師を決めておく

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ストレスチェックの実施

□質問票に記入してもらう
質問票の指定はありませんが、厚生労働省の「国が推奨する57項目の質問票」(次ページ・図②)があるのでそれを使えばいいでしょう。ITシステムを使ってオンラインで行っても構いません。
□記入後の質問票は医師などの実施者が回収する
第三者や人事権を持つ職員が、記入・入力の終わった質問票の内容を閲覧できません。
□回収した質問票をもとに実施者が、高ストレス で医師の面接指導が必要な者を選ぶ
高ストレスとは、自覚症状が高い者や自覚症状が一定程度あり、ストレスの原因や周囲のサポートの状況が著しく悪い人のこと。
□結果は、実施者から直接本人に通知する
結果は事業者(企業等)には返ってきません。結果を入手するには、本人の同意が必要です。
□結果は、医師などの実施者や実施事務従事者が 保存する
結果を事業場内の鍵のかかるキャビネットやサーバー内に保管するのも可能ですが、第三者に閲覧されないよう、実施者や実施事務従事者は鍵やパスワードの管理をすること。保存期間は5年間。

 

面接指導の実施

□「医師による面接指導が必要」と通知された労
働者から申出があった場合は、医師に依頼して面接指導を実施すること
高ストレスと評価された労働者本人が面接指導を希望した場合、通知されてから1カ月以内に事業者は医師による面接指導を実施しなければなりません。
□就業上の措置について
面接指導を受けた労働者の就業上の措置は、面接指導を実施した医師から1カ月以内に意見を聴き、それを踏まえて労働時間の短縮などの必要な措置を実施しましょう。
□面接指導の結果は事業場で5年間保存する

 

職場分析と職場環境の改善

□ストレスチェック結果を、実施者に一定規模の集団
(部、課、グループ等)ごとに集計・分析してもらう
集団ごとに、質問票の項目ごとの平均値などを求めて、比較する等の方法で、どの集団が、どういったストレスの状況なのかを調べます。
※この場合、集団規模が10人未満の場合は、個人特定されるかもしれないので、全員の同意がないと、結果の提供は受けられません。原則10人以上の集団が集計の対象。
□集計・分析結果を踏まえて、職場環境の改善を行う

 

行政への報告

□労働基準監督署に報告する必要あり
労働安全衛生法第100条に基づく報告の違反の場合には罰則があります。

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