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【2014年12月号】 「朝礼」で 元気な会社に しよう

ニュース

多くの会社で当たり前のように、行われている朝礼。
いつの間にか社員が下を向いてしまっているような朝礼になっていませんか?
社員がイキイキとし、組織が活性化するような「朝礼」があるのです。
朝礼改善指導を通じた組織活性化で実績をあげる朝礼コンサルタント・城田真吾氏にアドバイスいただきました。

 

朝礼の本来の目的は、企業のあるべき姿へ向かわせること

あなたの会社の朝礼は、社員が前向きに仕事に取り組むようになり、モチベーションがアップするような朝礼でしょうか? そんな朝礼を実現させるために必要なのは、まず朝礼を何のためにやるのか、という目的が明確であることです。その目的とは、端的に言えば「企業のあるべき姿を達成すること」です。企業の全ての活動はあるべき姿の達成にあり、サポート機能として、朝礼があるといえます。つまり、企業のあるべき姿を達成するためには、どのような朝礼にすればいいのか。「逆算した朝礼」、「あるべき姿と現状の差を埋める朝礼」を私は提唱しています。

例えば飲食業界で「居酒屋てっぺん」さんの朝礼は有名です。スタッフ一人ひとりが自分の夢を大声で語ります。こういうスタイルになったのは、目的がありました。居酒屋というのはサラリーマンたちが愚痴を言う場であることが多い。それを、愚痴ではなく「居酒屋を、夢を語る場にしたい」、そして「居酒屋から日本を元気にしたい」という願いがあったのです。だからこそ、お客様に夢を語ってほしいのなら「まず自分たちが夢を語ろう」、日本を元気にしたいのなら「まず自分たちが誰よりも元気になろう」というところから、あの元気満点の朝礼のスタイルが形作られたのです。

みなさんの会社では、「朝礼“を”やる」ことが目的ではなく、「朝礼“で”あるべき姿を達成」のイメージを持った朝礼をやっていますか? 私が問い掛けたい点は常にこれなのです。

では、どんな企業、職場でも「てっぺん」さんのようなスタイルがいいのでしょうか。極端ですが葬儀会社の職場で「自分の夢は・・・」「いらっしゃいませ!」なんて絶叫できません。それは企業としてあるべき姿が違うからです。それぞれの企業、職場に合った「らしさ」があります。朝礼にはその「らしさ」も大切なのです。

 

たかが朝礼、されど朝礼こんな朝礼が社員をダメにする

よくない朝礼というのをみていきましょう。
まずは管理するための朝礼というのは避けたいものです。よくあるのが「もう下旬なのにこのままだと今月の目標達成は難しいぞ」といった営業活動の進捗状況を詰め寄る管理型朝礼です。上司としてはいろいろ言いたいでしょうが、それは会議やミーティングで行うことだといえます。また、やたらと社長の話が長いのも良くありません。いずれも社員たちは次第に下を向き、「早く終わらないかな…」と思ってしまう朝礼はいけません。
さらに、発表スタイルの朝礼の場合、マイナスの後ろ向きの内容も避けましょう。例えば「昨日、お客様からこんなクレームがありました」とか。先ほどの営業活動の管理型もそうですが、どうしても言っておきたいのなら、夕礼でするほうがいいでしょう。
こうした朝礼では、エネルギーが出ません。「今日一日頑張るゾ!」というエンジンがかからないのです。
ある自動車整備工場の事例です。毎朝ラジオ体操をするのですが、覇気がなく、動きもバラバラ。そこで声を出し、動作も揃え、真剣に体操するようアドバイスしました。朝の体操はそれなりの意味があります。工場ですから安全第一が大切。
動きが緩慢になるのは事故のもとですから、よく動けるよう身体をほぐし、さらに体操で自分の身体の調子も点検できるはずです。
体操に限らず、声や動作を合わせることも大切なポイント。少年野球などを見ていると、掛け声を合わせ、円陣の動作なんかも合わせます。声や動作をシンクロさせれば、一体感が生まれます。すると職場では部下たちの調子の良い悪いなどの変化に気付きやすくなるのです。ということは指導やアドバイスも的確に行うことができるというわけです。

 

良い朝礼とは――ビジョンや理念を唱和しよう

次に良い朝礼ですが、最初に申しました「あるべき姿」である、ビジョンなり、理念なりを浸透させることです。その方法として、「唱和」することで潜在意識に刷り込ませます。呪文のようになろうと繰り返し唱和することです。組織のベクトルが次第に合ってきます。そのうち、例えば居酒屋で同僚たちと飲んでいて「君の考え方はうちの理念に合ってるな」と、ポロッと無意識に言ったりするものです。そうなるくらいに唱和しましょう。
そうして次の段階としては、唱和する内容に対して具体的な取り組みを、朝礼で発表してもらうようにします。唱和したビジョンが、具体的な行動に表せているかが大切なのです。でないと唱和がお題目になってしまい、あるべき姿へ向かう活力へつながっていきません。
さらに、潜在意識に刷り込まれると、次第に自分たちの次の行動を考えるようになります。あるべき姿を実現するためには、何をしなければならないのか、と目的に向かって皆の意識が集中し、自主性が生まれるのです。この自主性が出てくるような朝礼こそ理想といえるかもしれません。
また、唱和することで、実は会社を辞める社員が出てきます。これは「この会社の目指すべき姿は、自分が望んでいたものとは違う」ことに気付くからです。会社は万人受けするカジュアルなモノを作っていきたいようだが、自分はもっと消費者一人ひとりにとって特別なモノを作りたい、とか。これは決して悪いことではありません。社員が辞めることはマイナスなことですが、永い目で見ればお互いにとってプラスになるはずです。これも刷り込まれた結果、自主性が出てきた証拠といえるでしょう。

 

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良い朝礼とは――「感謝」を語ろう
人はとかくマイナス的な事に関心を強く持つようです。インターネットのニュースでも、悲しい事件や著名人のスキャンダルはどんどんクリックして深追いしてしまいます。逆の良い事はどうでしょうか。以前朝礼で「最近気になった良いニュースはありませんか?」という問い掛けに、誰も手を上げなかった経験がありました。
普段から良い事を見る癖をつけたいものです。おススメしているのは「Good&New」というものです。これは24時間以内の良かった出来事、新しく気付いた事を発表します。
これに加え、私が提案しているのが、毎日テーマを変えて、この1週間で「感謝した事」や「感謝した相手」等を発表してもらう朝礼です。「Aさんのおかげで仕事がはかどりました。ありがとうございます」とか「今日も電車がいつも通りに運行してくれて無事に通勤できて有り難いです」など。この「有り難い」という言葉は、「有るのが難しい、あり得ない事」ですよね。反対語は「当たり前」です。「世の中は何事も当たり前ではない」ということに気付き始めると、いろんな事が感謝の対象になってきます。不平不満からは何も生まれません。感謝すると仕事にもプラスの作用が生まれるのです。また、「Good&New」で互いを知ることができるので、仕事のカバー率が高まってきます。

 

感謝」はミスを減らし、仕事の効率を高める

感謝の気持ちが作用する効果としては、たとえお客様から理不尽なクレームがあったとしても「クレームをもらえるだけ有り難い。理不尽だけれども、この要求には我々が改善できる点があるはずだ」と前向きに捉えられます。自分たちの改善点を探そうとするのです。感謝の視点がなければ、「何を言うか! あのお客が悪いのだ」とくさるだけ。次に起こすアクションには雲泥の差が出てくるでしょう。
 私がコンサルティングした事例ですが、総務や経理の事務方というとお客様からあまり感謝される存在ではありません。営業は偉いけれど総務や経理は裏方だと。けれど、裏方の支えがなければ表では戦えません。そこで週に1度、事務方の朝礼に営業マンを連れて来て、総務や経理への感謝を述べてもらいました。すると変化が起きたのです。事務方のミスは軽減し、書類作りのスピードがアップしたといいます。もちろん、営業マンも総務や経理の存在を再認識できました。感謝されると、人はモチベーションを高めるのです。
 中小企業にとっての大きな課題は「いかに人を育てるか」だと思います。朝礼はたかだか10分としても、1年間合計すると約40時間。結構な時間があることになり、一つの教育研修と考えてもいいのではないでしょうか。モチベーションをアップさせ、感謝の気持ちを持ち、前向きに仕事に取り組むようになる。そんな朝礼に変えてみたいと思いませんか?