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【2019年4月号】昭和世代とは違う「ゆとり世代」を解明!イマドキ社員たちの 扱い方マニュアル Part1

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「ゆとり世代」に代表されるイマドキ社員の扱い方、接し方に苦慮しているという昭和生まれのトップやリーダーが多いと社会保険労務士でもある経営コンサルタントの大庭真一郎氏は語る。そこで今回はイマドキ社員たちの不可解な言動となっているその背景を探ってみた。


 
 
■イマドキ社員とは?その特徴と傾向
 
“イマドキ”と呼ばれる人たちの年齢層は「ゆとり世代」をイコールと考えてもいいでしょう。「ゆとり世代」とは主に2002年度から2010年度まで実施された「ゆとり教育」を受けた人たちをさします。年齢的には1987年度から2004年度の間に生まれた31歳から14歳までのあたり。どんな特徴や傾向があるのか、後ほど公的データでご紹介しますが、簡単に挙げてみましょう。
 
◉ストレス耐性が低くて打たれ弱い
◉指示されるまで動かない(指示されたことしかやらない)
◉すぐに結果を求め、答えを知りたがる
◉仕事よりプライベートを優先する
◉遅刻や欠勤、欠席などの連絡をメールやラインで送ってくる
◉お客様や上司にタメ口をきく
◉コピペした報告書を上げてくる
◉周りが忙しそうにしていても、定 時が来たら一言もなくさっさと帰ってしまう
◉職場の飲み会に参加したがらない
◉人が話をしているときにスマホを いじる
◉注意すると逆切れする
◉きつく言うと会社を辞めてしまう
 
こんなイマドキ社員たちの言動に頭を悩ます昭和世代のトップやリーダーたちが私の周りで増えています。考え方や価値観が異なるので、まともにぶつかってもかみ合うはずがありません。
この問題を解決するためには、まずイマドキ社員たちの本質を知る必要があり、今回は、彼らが育ってきた背景を見てみましょう。
 
 
■イマドキ社員たちが育ってきた生活環境
 
― その①「インターネット」
イマドキ社員たちの言動にもっとも影響を与えている生活環境要因として、子どものころからインターネットが普及している環境で育ってきたことを挙げることができます。
1990年代に爆発的に普及したインターネットは、まさにゆとり世代の人にとって、もっとも身近な存在。「ネットなし」なんて想像すらできないでしょう。
面識のない相手とインターネットを通じて簡単にやり取りを行ってきましたし、年齢や地位の異なる相手に対してもインターネットを通じてフラットな接し方をしてきました。さらには、無料で簡単に情報を入手できます。こうして彼らはインターネットを通じたバーチャルな世界に自分の居場所を見つけているのです。
 
― その②「競争の経験が少ない」
イマドキ社員たちの時代は、少子化がどんどん進んでいきました。1973年に約209万人もあった出生数は、ゆとり教育が始まる1987年には134万人、1997年119万人、ゆとり教育が終わる2004年は110万人となります。ちなみに2016年には100万人を割り、昨年2018年の出生数は1899年の統計開始以来最少の92万人だったとか。 
学校教育では、競争を促すスタイルから、個を尊重し伸ばすスタイルへと変化していきました。そのことが、他人と競争して打ち勝つ経験をイマドキ社員たちから奪い、ナンバーワンよりも「オンリーワン」を重視する意識を持つことへとつながっていきました。
つまり、「他人との競争にさらされた経験が少ないイマドキ社員」を作り出したというわけです。“草食系”と呼ばれる、大人しくてガツガツしないタイプの若者にも、こうした背景があるのでしょう。
 
― その③「叱られたことが少ない」
イマドキ社員たちが育った環境に「親や学校の先生などから厳しく叱られた経験が少ない」ということも挙げられるでしょう。
これは実は親にもいえることなのです。というのは、イマドキ社員たちの親世代といえば、40歳〜50歳ぐらいが多いでしょうか。実はこの層の人たちも「新人類」などと呼ばれた世代。平等や公平を好み、打たれ弱く、仕事よりもプライベートを重視する傾向があり、結構甘やかされて育てられたりしたのです。ですから、当然自分の子にも甘いので、叱ることが少ないといえるわけです。
学校教育の場にしても、厳しくすると、やりすぎだとか叱責されます。いわゆるモスンター・ペアレントの餌食になるのを避けるためにも、生徒を叱れないのです。
そうしたことが、イマドキ社員たちを打たれ弱い人間へと育て上げ、会社で上司や先輩に叱られるとすぐに辞めてしまう│。あるいは、仕事に対して注意をしたときに、「自分的には満足しています!」と逆切れするなどといったケースもあるようです。
 

 
 
■データで見るイマドキ社員たちの言動
 
さらにイマドキ社員たちを知るために、今度は公的なアンケート調査でのデータを見てみましょう。公益財団法人日本生産性本部が、毎年春に実施している「新入社員意識調査」を吟味すると、前述した特徴が見えてきます。すると、厚生労働省の「新規学卒就職者の離職状況」の数字もうなずけてしまうのです。その特徴をまとめると……。

 
― 特徴Ⅰ:理想とプライドが高い
個を重んじオンリーワンを重視する環境で育ってきたため、理想やプライドの高いタイプの人間が多いようです。
取り組む仕事の内容や仕事の進め方にも、理想やプライドが高いがゆえにこだわりを持ち、主張もします。それは、Aの調査結果①④⑧に表れています。一見、「なんだ、我々と変わらないじゃないか」と思われそうですが、⑧の仕事を通じてかなえたい「夢」はあるかの「夢」が少し昭和世代と違うのです。
昭和世代の仕事を通じての「夢」といえば、バリバリ頑張っていい給料をもらい、家を建て、昇進し、安定した生活を求めるという感じでしょう。ところがイマドキ社員たちの「夢」は、出世することよりも、目の前の仕事を自分の理想とする形でこなすこと。いわゆるネット用語にある「リア充(リアじゅう:今の生活がとても充実していること)」的なことを目指しているのです。
ですから、そこへ先輩や上司が会社の理念とか、従来の仕事のやり方を押し付けようとすると「自分はそんなつもりではやらないです!」と反発し、「ここはダメだ」と辞めることになるわけです。
 
― 特徴Ⅱ:安定志向である
他人との競争にさらされた経験の少ない環境で育ってきたため、安定志向の強いタイプが多いようです。これも「我々と同じじゃないか」と思われるかもしれませんが、中身が違います。安定した暮らしを実現するためにガムシャラに働くのではなく、イマドキ社員たちは競争のない、もしくは競争がおきないという意味での平穏な安定した環境を求めているのです。
そのため、ライバルを押しのけながらのし上がっていく、というようなことに対してエネルギーを使いたがりません。そのような特徴が、Aの調査結果⑤に表れていて、出世することに価値があるとは考えていないのです。
 

 
 
― 特徴Ⅲ:根気に欠ける
周囲の大人たちから厳しくされる機会が少なく自由な環境で育ってきたため、やはり根気に欠けるタイプが多いようです。そのため、自ら創意工夫を凝らすことなく、簡単に答えを求めようとします。そのような特徴が、Aの調査結果②に表れています。
また、このような傾向が、仕事において下積みを体験するようなことを嫌うことへとつながっています。最初は雑用的なことから携わって徐々に本筋の仕事を経験させていくのが昭和世代の一般的なセオリーです。しかし「新人の仕事は雑務から」「サービス残業をしてでも目で見て覚えろ」といった感覚は、イマドキ社員たちには通用しません。
雑用を与えようものなら、「なぜ、きちんと仕事をさせてもらえないのですか?」「そういうのはパワハラです」などと主張し、サービス残業云々を言えば、「正当な権利として残業代を要求します!」と主張するのです。そして、早々に会社に見切りをつけて転職を考える│。そのような特徴が、Aの調査結果⑥⑨に表れています。
 
― 特徴Ⅳ:会社組織に馴染めない
インターネットというバーチャルな世界におけるフラットな人間関係に馴染んできたため、現実の世界での序列が存在する人間関係に馴染むことのできないタイプが多いようです。そのため、職場の人とも常に一定の距離を保ち、自分の世界を大事にしたがります。そのような特徴が、Aの調査結果③⑩に表れているといえます。
特に⑩の回答で「雰囲気・社風」が第2位になっているのは、「自分にとってしんどくない人間関係があること」を求めているからでしょう。例えば社内での飲み会だとか、社員旅行だとかを嫌います。オフタイムの付き合いは敬遠したいのです。だからなのか、チームプレーを苦手とするタイプも多いようです。そうした特徴がAの調査結果⑦に表れているといえます。
 
今回はゆとり世代に多いイマドキ社員たちの言動の背景を見てきましたが、次回はそんな彼らへの対策、扱い方を考えてみましょう。