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【2019年3月号】リーダーの資質を身につける あなたは 一流のリーダーか? Part2

ニュース

どんな仕事や立場にも、いわゆる一流といわれている人はいる。ならば二流や三流もいることになる。それぞれどんな特徴があって、行動をとるのだろうか。今回はコミュニケーションをテーマに、リーダー教育で数多くの実績を持つ経営コンサルタントの吉田幸弘氏にうかがってきた。


 
 
★一流のリーダーの自分の上司への振る舞いは?
 
 
■新しい案件を与えられた場合
常務直々に「K社への提案書を作成してほしい」と言われました。提案書はつい先週も作成したばかりです。
 
― 三流のリーダー
(なんでウチが?)と反発的に「先週も私のチームでしたよ。今、忙しいので他のチームにお願いできませんか」と断ってしまいます。もし逆の立場で部下に同じように断られたらどのように思いますか? 「こんな部下にはもう仕事は頼まない!」と思いますよね。評価は確実に下がりますので、テロリストのような行動と言わざるを得ません。
 
― 二流のリーダー
「わかりました。別件もあるので調整してみます」と言うリーダーもいるでしょう。自分やチームの状態を分析し、できるかどうかを慎重に考える。いわばアナリストです。常務は有無を言わずにやってほしいはずですが……。
 
― 一流のリーダー
「やります」と即答して引き受けるのが一流です。アナリストのように「自分にできるだろうか」とは考えず、「私を指名したということは、私を信頼しているからだ。その思いに応えたい」と一流のリーダーは、ナルシスト的に捉える傾向があるようです。まず「やる」と決めたら、どのようにして時間を作って新しい案件を進めていくかを考えるのです。これだと上司からは高く評価され、他にも大切な仕事を任されるようになり、出世していくことでしょう。
 
 
■上司に相談したいことがある場合
「部下が得意先とトラブルを起こした」「部下が入院して補充要員が必要」「ライバル社との相見積りのため条件の見直しが必要」等々、リーダーが自分で対応できないことも起きます。
 
― 三流のリーダー
「報告・連絡・相談は迅速に」というビジネスの鉄則に従って、すぐに上司へ相談するのは実はあまりよくありません。上司も忙しいのです。これから商談に行こうとしていたかもしれません。突然の相談には対応できないかもしれないのです。
 
― 二流のリーダー
まずは社内の共有スケジュールを見て、相談のタイミングを判断します。でもそう簡単にはいかないもの。役職が上になればなるほど予定表に明記されていない、非公開の予定は意外と多くあるものです。
 
― 一流のリーダー
事前に相談のアポイントをとるのが一流のリーダーの行動です。まずメールで「相談したい時間」「相談内容」「困っている点について」を送ります。それから在席していればメールした旨を直接伝え、離席していれば目立つところにメモを貼っておきます。これなら上司もきちんと対応するでしょうし、相談時に解決策を用意しておいてくれるかもしれません。
 

 
 
★一流のリーダーの部下とのコミュニケーション術とは?
 
 
■部下との接し方
「部下に嫌われてなんぼ」と思っている人がいます。嫌われ役だからとわざと厳しくするのです。さて、一流のリーダーは嫌われようとするでしょうか、逆に好かれようとするでしょうか。それとも……。
 
― 三流のリーダー
「嫌われ役でいい」としても、人は嫌いな人についていこうとは思わないものです。でも、嫌われる勇気が必要だと言う方もいますが、それは「嫌われる」を誤解しています。間違っていたことを注意する、あるいは叱る、部下が作成した提案書を改善してもらうこと等。これらは嫌われることではなく、リーダーとしての当然の行動です。
 
― 二流のリーダー
では逆に部下に好かれようとすればいいのか。好かれようとすると、嫌われないようにしようという気持ちが働いて「叱りたいけれど、部下の気分を害するかもしれないので黙っていよう」となります。これでは本末転倒。ほめ言葉も、おだてになって部下のモチベーションは上がりません。
 
― 一流のリーダー
「嫌われよう」「好かれよう」という考えは「自分がどのように思われているか」という視点に他なりません。部下を育てよう、チームを伸ばそうという視点に立つのが一流のリーダーです。部下を適切な行動に改善させるためには、言いにくいことも言えばいいのです。ただし、感情的にならずに、改善案をいくつか与え、部下に選択させる。そんなスタンスが一流といえるでしょう。
 
 
■仕事の頼み方
例えば部門会議でのレジュメを部下に作成してもらう場合。当然、部下もいくつかの仕事を掛け持ちでやっているはず。そこへ頼むとなると……。
 
― 三流のリーダー
「なるはやで頼むよ」。私もよく使った言葉でした。「なるべく早く」という意味ですが、これはとても危険です。人によって「なるべく早く」は今日中と捉えたり、3日後ぐらいまでならいいやと自分の都合がいいように解釈する人もいるからです。
 
― 二流のリーダー
捉え方や解釈の食い違いを防止するためにも、いつまでに仕上げてほしいのか、期限は明確に伝えましょう。その際、「今週末」とか「来週の頭あたり」、「来週の月曜日」という言い方はよくありません。リーダーは月曜の午前中にはもらえるだろうと思っていても、部下は夕方でもいいだろうと解釈しているかもしれません。「月曜日の10時」と言いましょう。
 
― 一流のリーダー
期限を設定するだけではまだ二流です。一流は、部下の仕事の総量を調整し、オーバーフローにならないようにします。つまり、「やらなくてもいい仕事」「後回しにしていい仕事」という、優先順位の逆となる「劣後順位」を明確にします。さらに、期限を「月曜日の15時からの会議だから、できれば朝の10時にほしいんだ。でもしんどかったら12時まで待つけど」と二者択一を提案し、期限を部下に決めさせるとよりいいでしょう。
 
 
■雑談について
私語厳禁という職場があります。リーダーが静かに仕事をしたいタイプであったり、能率を上げようとそうするのです。果たして私語厳禁は能率をアップさせるのでしょうか。
 
― 三流のリーダー
公式な会話しかない上下関係では本音で話し合うことは難しいでしょう。部下との距離も縮まらず、信頼関係も構築しづらくなります。しかも、静かな職場は、相談がしにくいもの。他の人に聞こえてしまうからです。それが嫌で相談するのが遅くなってしまえば、事態はさらに悪化するかもしれません。また、メンバー同士の協力や情報交換も希薄になるものです。
 
― 二流のリーダー
コミュニケーションの潤滑油としても雑談は大切です。新聞やネットニュースなどの時事ネタをストックしておけばいいでしょう。ビジネス関連のニュースをはじめ、スポーツの試合結果、芸能ニュース、音楽ランキング、天気の話、話題のグルメ店等々。
 
― 一流のリーダー
単なる雑談も一流のリーダーは部下のことを知るために使います。「夕べ、サッカーのアジアカップ予選の試合、見た?」という話題から「僕は学生のころサッカー部でね。君は何かスポーツをやるの?」と、部下が話しやすいように自己開示してから質問をするといいでしょう。
雑談を通じて部下の情報を知り、どんな考えを持っているのかを把握する。そして元気がないときなど「最近、ドライブしてる?」という質問から雑談を始め、その答え方によってどれだけストレスを抱えているかを探る。そこまでやるのが一流のリーダーなのです。
 

 
 
★一流のリーダーの社外交流は?
 
 
■仕事以外での交流
毎日のように部下たちを誘って飲みに行くリーダーがいます。社内での交流は大切ですが、それだけでいいのでしょうか。
 
― 三流のリーダー
仕事に関係のない人と交流するのは「時間がもったいない」と言う人がいます。それでは情報が入ってきません。仕事のヒントは他業種にもあるもの。違う業界ならではの知識やノウハウ、異なる視点は参考になりますし、いい刺激にもなります。
 
― 二流のリーダー
社外交流のひとつで「朝活(あさかつ)」へ出勤前に参加する人もいるでしょう。朝食をとりながら議論や読書会をしたり、また講演会があったりします。有意義な時間活用法にも思えるのですが、「朝の1時間は深夜の3時間に匹敵する」とも言われ、頭は冴えているもの。仕事を処理するのに最適の朝に、別のことをするのはもったいないように思えるのですが。
 
― 一流のリーダー
社外のセミナーや交流会、食事会は、朝よりも夜に参加するほうがいいでしょう。社外の人と会う場合、遅れると恥ずかしいので、締め切り効果が出てその日の仕事は効率よくこなすもの。また、頭がよく働く朝は、外国語を勉強したり、ビジネス書を読んだり、インプットの時間にあてるのが一流のリーダーの朝の使い方です。
 
 
★一流のリーダーの問題解決法は?
 
 
■メンバー間の対立にどのように対処するか
チーム内の雰囲気が悪くなっています。原因は2人の中心メンバーが対立。このままではチームの運営に大きな支障をきたします。
 
― 三流のリーダー
当該の2人を別々に呼び出して注意するのはNGです。また、立場の弱いほうにつくのもNGです。違う態度で対応すれば、いつしか「人によって態度が違う」という噂が立ってしまいます。リーダーは公平な視点と態度が大切なので、別々に呼ぶのは避けましょう。
 
― 二流のリーダー
2人一緒に会議室に呼び出しましょう。例えば次のように言ってみます。「Aくんはいつもお得意さんの面倒をよくみてもらって助かるよ」
「Bくんは積極的に新規開拓してくれるから次年度の計画も立てやすくて助かるよ」
これらはリーダーの「私(I)」を主語にした自分の気持ちや感じたことを伝える「Iメッセージ」を使ったほめ言葉です。さらにこの後「今、チームはいい感じだから、さらに2人の力が合わされば、この事業部では抜きん出た強力なチームになれると思うんだ。だから、力を貸してほしい」
呼び出して和解させても一時的なもので時間が立てばまた対立するものです。
 
― 一流のリーダー
先の二流のリーダーの行動で十分ですが、一流はもうワン・アクションがあります。リーダーを含めた3人でミーティングするようにしたり、プロジェクトをつくったり、対立する2人を組ませて仕事をさせるのです。対立の原因は、コミュニケーション不足が多いので、会話する場を設け、2人がお互いを知る機会をたくさんつくれば、対立はたいていの場合、解消するものです。これこそ、一流と呼ばれるにふさわしいリーダーの問題解決法といえます。
 
 
※参考:吉田幸弘著『リーダーの一流、二流、三流』(明日香出版社)