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【2015年3月号】 部下がやる気を出す! 魔法の言葉 part1

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上司のちょっとした言葉で
部下はやる気をなくしてしまうこともあれば、
前向きになって自発的に動くようになることもあります。
どんな言い回し、言葉でコミュニケーションを図ればいいのか。
人材育成コンサルタントの吉田幸弘氏にうかがいました。

 

ちょっとした言い回しでコミュニケーションが円滑になる

もしあなたが取引先でミスし、契約を逃したとします。それを報告した時の上司のリアクションです。
A「何をやっているんだ! なんでそうなったのか、詳しく聞かせてくれないか」
B「なかなか大変だったようだね。報告をありがとう。詳しく聞かせてくれないか」
 あなたが部下ならどちらの言い方ならいい反応をするでしょうか。聞くまでもなくBでしょう。ほんの少しの言い方の違いなのですが、Aは問い詰めており、こんな言い方をされると、うまく報告ができなくなるかもしれません。それに対して、Bは報告してきたことをねぎらっており、素直に反省しながら報告できそうです。
 このようにちょっとした言い回しへの気遣いで、部下への伝わり方や反応は大きく変わります。上手な言い回しや言葉が使えるようになれば、コミュニケーションも円滑になり、部下のやる気を引き出すことにつながるのです。

 

イライラしない、笑顔を意識するそして5W2Hシートを活用しよう

報告は、部下とのコミュニケーションの大事な機会となります。
 まず大切なことはイライラしないこと。上司自身が落ち着いて訊くことです。さらに、柔らかな「笑顔」を見せることを意識して報告会に臨んでください。真面目な顔って怒っているような印象を与えますから。意識し笑顔を作ることが大切です。
 といっても訊いているうちにやはりイライラしてしまうもの。その理由は明白で、部下の報告が要領を得ないからです。するとつい「君の報告は何を言っているのかさっぱりわからない!」なんて言ってしまうのは絶対にNG。さらに要領の得ないことになってしまいます。
 そこで、報告の前に「5W2Hシート」を部下に書いてもらうよう私は提案しています。
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 このシートがあれば、要領を得ないことはある程度解消されるのでイライラせずに訊くことができるでしょう。
 

「相槌」一つでコミュニケーションが変わる

 そうして、部下の報告が始まったら、部下が話すスピードに合わせて「相槌」を打ちましょう。この相槌は、うまく使えば、部下に安心感を与える大きなツールになります。部下とのコミュニケーションや信頼関係を築くのに安心感はとても大切です。
 最初はゆっくりとした相槌を心掛けます。上級テクニックとして、話をする相手の顎の動きに合わせた相槌というのもあります。
 相槌は相手が話すのを促すものですが、承認ワードと非承認ワードというのがあります。
 承認ワードは意識して使う言葉です。「それで、それで」「それから」など、部下の話をさらに引き出したい時に使うといいでしょう。部下からの“報連相”で話す割合は部下8:上司2ぐらいが理想的。「はい、はい、はい」と3回以上の相槌は否定の意味となり、「早く話を終わらせたい」と受け取られますので注意してください。
 話を受け止める相槌は「たしかに」「なるほど」があり、これなど口癖にしてしまうのもいいかもしれません。同感を表す相槌「おもしろいね」「興味深い話だね」「そのとおりだね」などは、部下は自分の話を肯定してもらったと思い、口も滑らかになるものです。
 さらに、いたわりの相槌も大切。愚痴を聞く時、部下に非があっても「(気持ちは)よくわかるよ」と言ってもらえれば部下の気分も晴れます。悩みを相談された時には「それは困ったね」と受け止めてもらえれば、部下は「この上司は味方だ」と信頼を寄せてくるはずです。
 失敗やミス、コンペで負けた時などは「それは残念だったね」「がっかりだね」という部下の気持ちに寄り添うような相槌なら、部下も早く立ち直ってくれることでしょう。

 

部下のやる気を奪うダメなNGワード
非承認ワードは絶対に使わないようにしたい言葉です。これは部下が話し辛くなってしまう言葉。代表的なのが「でも」「どうせ」「だからさあ」です。例えば逆説となる「でも、まだ実績がないよね」とか、「どうせ、無理だろ」、「だからさあ、それは前もってダメだと言ってたでしょ」。これらは「部下のやる気を奪う3D(ダメ)ワード」と私は呼んでいます。
 その他、部下が予想外の内容や真逆の結論を話したりした時に「そんなはずはないだろう」とか、「君の言っていることは間違っている」「何を言っているのかわからない」とよく言ってしまいがちですが、これは人を認めていない完全否定の言葉なので、部下は何も言えなくなってしまいます。
 部下の話の内容や価値観が自分と違うと思った時など、非承認ワードを使ってしまいがちです。賛成はできずともあからさまに反対するのも差し障りがある、そんな時は「なるほど」という相槌が効果的です。
 ただ、「本当かよ」「何バカなことを言ってんだよ」と否定的な言葉でも、そこに笑顔があればまだ否定にはなりません。上司の言葉が少々乱暴でも笑顔で受け答えしてくれれば、部下は下を向かないで“報連相”ができるものなのです。

 

自信のない部下にやる気を出させる言葉

部下の成長につながるので仕事を任せたくとも、「自信がありません」と言う消極的な場面もよくあると思います。私も以前「そんなことを言っていたら、いつまでたっても成長できないぞ」と言ったことがありました。このようなことを言われてもやる気など出てきません。
 部下の心理としては「失敗したら叱られるんじゃないだろうか」「失敗したら評価が下がるんじゃないだろうか」というのがあります。ですから最初に「失敗しても大丈夫。俺が責任を持つから、やってごらんよ」と言ってあげます。
 また、「自信がない」と言う部下に「なんでだ?」「なぜだ?」という受け答えは避けましょう。「なぜだ?」は相手を責める印象を与えます。ここでは「何が心配なんだ?」とか「どの辺に自信がないんだ?」と訊きます。「なぜ?」ではなく「何が?」がポイントです。
 「なぜ、なぜ」を繰り返して原因究明や問題解決を図る手法があります。部下に対する指導でも、その「なぜ」の繰り返し手法を使っている人が意外と多いのですが、これは間違いです。責めている以外のなにものでもありません。この場合も「何が」に置き換えてみましょう。「なぜミスをしてしまったんだ?」ではなく「何がミスの原因になったと思う?」と言ってみることです。

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落ち込む部下には「一緒に考えよう」と「失敗談」

 今度はミスをして落ち込んでいる部下への言葉を考えてみましょう。先ほどと同じで「なんで、ミスをしたんだ?」はNGです。「なぜだ?」と訊かれても理由なんてわかりません。なぜと繰り返されるうちに、隠蔽し報告してこなくなるという問題にもつながります。どんなささいなことでも報告するようにと言われているので、ほんの小さな事でも全て報告していると「またか!」と怒鳴られる。その矛盾が隠蔽につながりますので気をつけてください。
 そこで、ミスをして落ち込んでいる場合は「ミスを防ぐにはどうしたらいいのか、一緒に考えてみようか?」と言ってみましょう。こう言われると部下は安心するようです。安心すれば「原因はここにあるようです。自分にも注意が足らなかったので、このようにしたらどうでしょうか」と反省しながら解決策を考えるようになります。
 もうひとつは、「俺も昔、同じようなミスをしたことがあるわ」と、上司が過去の失敗談を話し、失敗の自己開示をするといいでしょう。
 でもそう言うと、部下になめられるのではないかと心配する人がいます。部下が上司をバカにするかしないかの基準とは、大事な局面で「判断できる人かどうか」です。そしてそれをクライアントや自社のトップにきちんと進言できるか。それができるのであれば、たとえどんな失敗談を聞かされても上司をバカにしたりはしません。

 

繰り返すミスにはアメとムシ(無視)

 誰もが経験していると思いますが、ミスを繰り返してしまう場合があります。そういう時は、常にミスを犯しているのではないだろうかと不安が心を支配してしまいます。気持ちはそこばかりに向いてしまって、本来の仕事に集中できません。そんな時は「そこは俺が見るから」と手離れさせてあげましょう。
 また、ミスを繰り返して萎縮していると、また同じところでミスをしてしまうもの。「また間違っているだろ!」と怒鳴るとさらに落ち込んで、またミスをしてしまい、どんどんぬかるみにはまってしまいます。ミスは同じ事案で繰り返すことが多いですから、その悪循環を断ち切るためにも時には「ここは直しておいたから」とか「この部分はB君に回したから」とアメを与え、小さいミスはムシ(無視)をする。まさにアメとムシです。
 そうすると甘やかして成長しないのではと思われそうですが、やがて責任ある立場になった時には自覚するようになります。長い目で育成することが肝心。欠点を打ち消すことで長所まで一緒に打ち消さないことです。

 

打たれ弱い若者には叱り方がある

 「今の若者は叱られたことがないから打たれ弱い」とよく聞きます。叱るのと怒るのは違うということは随分と言われていますが、改めて言うと叱る基準を明確にすることです。「これをしたら俺は叱るよ」と常に言っておくことです。
 また、積極的に取り組んだけれどミスをした場合は叱らない。「あんなことをやるから失敗するんだよ」なんて言われると何もやりたくなくなります。そして叱る項目は一つに絞りましょう。「そういえば、この前は、こういうことをやっただろ」と過去のことも加算して叱るのはNGです。
 打たれ弱い部下にはアメとムシ手法で、例えば「あのミスだけど、こうしたら良くなるんじゃないか」と改善点を提示してあげたり、良かった点を褒めることです。長所を褒めて伸ばすやり方がいいでしょう。